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研究成果

公開日:2018.07.25

車検制度の見直しがCO2排出削減に寄与することを解明
-科学的な証拠に基づいた自動車政策の見直しが必要-

研究成果 人文・社会科学

 九州大学経済学府博士課程2年・日本学術振興会特別研究員の中本裕哉氏と経済学研究院の加河茂美教授は、計量経済学分野で発展してきた「動的離散選択分析」と産業エコロジー分野で発展してきた「動的ストック・フロー分析」を組み合わせた新たな解析手法を開発し、自動車車検制度による経済寿命の変化がCO2排出量に与える影響について推計することに成功しました。
 本研究では、エコカーの代表であるトヨタのプリウスに焦点をあて、プリウス所有者が買い替えを選択する確率を動的離散選択分析をもとに推計しました。一般的な車の平均寿命は約13年といわれていますが、プリウスの経済寿命を求めたところ5.07年と驚くほどに短いことが分かりました。この経済寿命が短い主な要因は車検制度であり、この制度の変更によってプリウスの経済寿命の延長を図ることができるだけでなく、CO2排出量も減少させることができることを明らかにしました。
 これは、車両の安全性の確保などを目的とした自動車車検制度が、結果的にエコカーの経済寿命を短くさせ、その寿命短縮がCO2排出量の増大をもたらし、結果的にそのCO2排出量の増大に起因する気候変動が人々の生命と財産を脅かしているということを示唆しています。
 車両の安全性の確保とCO2排出量の抑制の両方を達成するための新しい自動車車検制度の提案が求められます。
 本研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業(JP26241031)の支援を受けました。
 本研究成果は、7月20日(金)付のJournal of Environmental Management誌に掲載されました。

図1.車検制度がプリウスの買い替え選択に与える影響

図2. 車検制度変更がCO2排出量に与える影響

研究者からひとこと

地球温暖化の脅威が目に見えてきている今、例外なく既存の政策・制度を見直し、あらゆるCO2排出削減政策を講じていく必要があります。エコカーの購入にばかり目がいきがちでありますが、エコカーを長く乗るという行動そしてエコカーを長く保有させるための制度設計が重要であります。本成果が車検制度の見直しならびに関連政策の提案につながりCO2排出削減に向けて貢献することを望みます。

論文情報

Role of vehicle inspection policy in climate mitigation: The case of Japan ,https://www.sciencedirect.com/science/journal/03014797,
10.1016/j.jenvman.2018.07.028

研究に関するお問い合わせ先

経済学研究院 加河茂美 教授
経済学府博士課程2年・日本学術振興会特別研究員 中本 裕哉
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