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研究成果

公開日:2018.11.20

神経細胞を明るくカラフルに染めることで神経回路研究を加速

研究成果 医歯薬学

 九州大学大学院医学研究院の今井猛教授、大学院生坂口理智(京都大学大学院生命科学研究科博士課程3年)、Marcus Leiwe助教からなる研究グループは、蛍光タンパク質を用いて神経回路を明るくカラフルに染色し、神経回路のつながり方を明らかにする新しい手法Tetbow法を開発しました。
 我々の脳機能は、膨大な数の神経細胞がつながった神経回路によって生み出されます。従って、脳の機能を理解するには、神経細胞の配線を一つ一つ明らかにすることが必要です。しかしながら、一つ一つの神経細胞を区別してその配線様式を明らかにすることは容易ではありません。2007年に、個々の神経細胞に異なる色の蛍光タンパク質を異なる組み合わせで発現させ、個々の神経細胞を区別して蛍光標識する手法が開発されました。しかしながら、この従来法では輝度が十分ではなく、神経細胞の配線の全貌を明らかにすることが困難でした。そこで、本研究では様々な改良を加え、蛍光輝度を大幅に向上した改良版Tetbowを開発しました。Tetbow法を用いてマウスの脳を染色し、さらに研究グループが以前に開発した、脳を透明にする手法SeeDB2を用いて脳標本を透明化すると、多くの神経細胞が複雑に配線する様子を大規模かつ立体的に捉えることが可能となりました。実際にマウス嗅球の僧帽細胞では、樹状突起が複雑に配線する様子を立体的に可視化できたほか(図1)、数ミリメートル以上の長い軸索をカラフルに染めて追跡することができました。本手法は神経回路の詳細な配線様式の研究を加速し、神経回路の作用機序や発達、精神疾患の神経回路基盤を明らかにする研究に貢献することが期待されます。
 本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」、新学術領域研究「スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御」、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金、ブレインサイエンス財団の助成によって行われました。成果は、11月20日に英国のオンライン科学雑誌『eLife』に掲載されました。また、本研究は九州大学および理化学研究所にて実施されました。

(図1)
マウス嗅球僧帽細胞・房飾細胞をTetbow法で標識。樹状突起の混み合った配線の様子を異なる色で明瞭に区別することができる。

研究者からひとこと

Tetbow法を使って得られた、神経回路の美しい画像や動画をご覧下さい。

研究に関するお問い合わせ先

医学研究院 教授 今井 猛

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