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マウスES細胞から休止状態の卵母細胞を体外培養で作製することに世界で初めて成功 〜繁殖力を長期に維持するメカニズムの解明や不妊治療法の開発に期待〜

2019.05.28
研究成果Life & Health

 九州大学大学院医学研究院 学術研究員の島本走博士と林克彦教授の研究グループは、マウスの多能性幹細胞であるES細胞から、これまで誘導することができなかった休止状態の卵母細胞を、体外培養下で作製することに成功しました。
 本研究成果により、休止状態の卵母細胞を培養下で作製できるようになったことから、ヒトを含めた哺乳類の雌における繁殖能力の長期的な維持メカニズムいった生物学的に重要な課題にアプローチしやすくなったと同時に、早期閉経などの不妊原因の究明や治療方法の開発への貢献が期待されます。
 本研究成果は、日本学術振興会科学研究費(18H05545および25290033)の支援を受け、『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America』にオンライン掲載されます。

(参考図)
(左図)
ES細胞から誘導した再構成卵巣内の卵母細胞
矢印:休止状態の卵母細胞
(右図)
低酸素培養により作製されたES細胞由来の休止状態の卵母細胞。FOXO3タンパクが卵母細胞の核内に局在し、サイズが小さいのが特徴。

研究者からひとこと

 卵母細胞がどのように形成されるかに関しては未だに多くの謎が残されています。本研究によって、体外培養下での卵母細胞形成過程を生体内の実際の過程により近い形で再現することができたと考えています。この研究から得られた知見が、卵母細胞形成機構の解明や不妊治療法の開発等、生物学や医学の発展に貢献すれば幸いです。

論文情報

Hypoxia induces the dormant state in oocytes through expression of Foxo3 ,PNAS,
https://www.pnas.org/content/early/2019/05/29/1817223116

研究に関するお問い合わせ先

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