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研究成果

公開日:2019.06.10

幸せをよぶ?クローバーを餌にウニを養殖する技術を開発 
〜高栄養・低コストなマメ科植物飼料で高品質なウニを1年中生産可能に〜

研究成果 農学

 九州大学大学院農学研究院の栗田喜久助教、宮城大学食産業学群の西川正純教授、片山亜優助教はクローバーなどのマメ科植物を餌としてウニを肥育する技術を開発し、特許出願しました。
 ウニは日本人にとって寿司ネタなどとして馴染みの深い食材です。しかし近年、全国の沿岸部ではウニが大量発生し、海域の海藻類を食べ尽くす「磯焼け」を引きおこすことで、沿岸の生態系や漁業に深刻な被害をもたらしています。磯焼け海域のウニは餌である海藻がないため、痩せていて身入りが悪く採っても売り物になりません。藻場を回復させるべくウニの駆除が各地で行われていますが、売り物にならない上に、処分するには費用がかかるため漁業関係者にとって負担となっています。こうした「痩せウニ」を養殖することで身入りを改善することは可能ですが、磯焼け海域では餌の海藻が入手困難であること、また海藻の生える時期が春〜夏に限られること、といった課題がありました。
 そこで海藻類にかわる新しいウニの餌として、陸上に生えるマメ科植物のクローバー(和名シロツメクサ)を約2ヶ月キタムラサキウニに給餌したところ、従来の餌であるコンブと同等に可食部である生殖巣が成長するという結果が得られました。また商品価値の基準となる生殖巣の色彩を計測したところ、クローバーで育てたウニの方がコンブに比べてより鮮やかな色になっていることも明らかになりました。味に関わるアミノ酸や脂肪酸などの成分についても分析したところ、クローバーで育てたウニでは、多くの成分がコンブで育てたウニと同等の値を示したほか、血中の中性脂肪を下げる作用や皮膚の健康維持を助けるとされるn-3系脂肪酸のα-リノレン酸がより豊富に含まれており、従来の餌と比較しても高品質なウニを生産できるといえます。クローバーはほぼ1年中どこでも簡単に栽培可能であり、磯焼け海域の痩せウニを肥育するためだけではなく、海藻がなくなる冬場に身入りの良いウニを生産するための養殖飼料としても期待されます。今後は漁協や養殖業者との技術提携などを通じて、ウニ養殖の事業化および商品化を目指していきます。本技術は2019年3月27日付で特許出願されました(特願2019-060811号)。

図1:養殖カゴ内でクローバーを食べるムラサキウニ

図2:クローバーを餌に養殖されたキタムラサキウニの生殖巣

研究者からひとこと

沿岸域に生息する魚介類の減少が続く昨今において、水産物の安定的生産と供給のため、養殖漁業の重要性は増し続けています。今回開発したクローバーによるウニ養殖がその一助になることに加え、ウニの駆除による磯焼け抑制と沿岸環境の回復、そして沿岸水産業の活性化に繋がることを期待しています。

研究に関するお問い合わせ先

栗田 喜久 農学研究院 助教
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