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研究成果

公開日:2019.09.04

イブジラストに抗がん剤の副作用(筋萎縮)軽減効果!
~既承認薬の適応拡大に期待~

研究成果 医歯薬学

 今回、九州大学大学院薬学研究院の西田基宏教授(生理学研究所/生命創成探究センター兼務)と西山和宏特任助教は、静岡県立大学、大阪府立大学、東京大学との共同研究において、心筋細胞や骨格筋細胞を萎縮させる原因となるTRPC3-Nox2タンパク質複合体の形成を阻害する化合物として既承認薬イブジラストを同定し、イブジラストが抗がん剤の副作用(心筋や骨格筋の衰弱)を軽減できることを明らかにしました。
 本研究結果は、英国薬理学会誌に掲載されました。
(令和元年8月30日号掲載)

図1:これまで、TRPC3チャネルタンパク質と活性酸素の生成酵素(NADPHオキシダーゼ(Nox2))の安定な複合体の形成が、圧負荷による心臓の線維化や抗がん剤による心筋萎縮の原因であることを明らかにしていました。(Kitajima et al., Sci. Rep. 2016 :Shimauchi T et al., JCI Insight. 2017 参照)。今回、独自の方法で薬の選定を行い、既承認薬の中からTRPC3-Nox2複合体の形成を抑制するイブジラストを特定しました。(A:スクリーニング方法および結果。 B:HEK293細胞にTRPC3-EGFPとFLAG-Nox2を発現させ、免疫沈降法を用いて複合体に対するイブジラストの効果を検討した結果。)

図2:抗がん剤の累積投与により筋肉や臓器の消耗が引き起こされることが知られています。抗がん剤ドキソルビシン(DOX)投与マウスでは心臓、骨格筋および
脾臓の重量の減少が認められました。イブジラストはTRPC3-Nox2 複合体の形
成を抑制することで、DOX によって引き起こされる活性酸素の産生および臓器
の萎縮を抑制することを明らかにしました。(A:ドキソルビシン投与後の体重
変化 B:心臓および脾臓の重量 C:腓腹筋の重量 D:腓腹筋におけるROS の
産生量をDihydroethidium (DHE)染色で評価した結果)

図3:本研究により、抗がん剤やタバコ副流煙によって、TRPC3とNox2の複合体が形成され、心筋毒性や骨格筋萎縮、免疫毒性が引き起こされることが明らかとなりました。さらに、既承認薬であるイブジラストがTRPC3-Nox2複合体の形成を抑制することでこれらの副作用を軽減することを見出しました。

研究に関するお問い合わせ先

西田 基宏 薬学研究院 教授

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