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研究成果

公開日:2016.03.02

有機EL素子の高耐久化の実現と劣化メカニズムの解明に成功

研究成果 工学

 九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)の安達千波矢センター長、Daniel Ping-Kuen Tsang研究員の研究グループは、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料を発光層に含有する有機EL素子において、デバイス構造の最適化により初期劣化を十分に抑制し、連続素子寿命を大幅に向上させることに成功しました。本研究では、有機分子である8-hydroxyquinolinato lithium (Liq)を有機層界面に数ナノメーターの膜厚で挿入することにより、素子の初期発光強度が5%減少するまでの時間(LT95)を最大16倍程度伸ばすことが可能になりました。このような素子寿命の大幅な改善は、Liq超薄膜の挿入によって、界面に形成される電荷トラップ濃度の大幅な減少に起因しています。この改善により、モバイルディスプレーに必要とされる素子寿命を十分に確保する道筋が得られたことになります。
本研究成果は、平成28年3月1日(火)午前10時(英国時間)に英国国際学術誌Nature 姉妹誌のオンラインジャーナルである『Scientific Reports』に掲載されました。

上左:有機EL素子の構造とLiqの分子構造。
上右:TADF発光材料である4CzIPNの分子構造。
下:(黒い線)Liq層を含有しない素子の耐久特性。(赤い線)Liq層を正孔阻止層と発光層の間に3ナノメートル、また、正孔阻止層と発光層の間に2ナノメートルLiqを挿入することで、素子寿命を8倍向上できました。(緑の線)素子構成の最適化により最大16倍の耐久性向上に成功しました。

研究者からひとこと

本研究成果による新しい素子構造を有機EL素子に適用することで、ユニバーサルに有機EL素子の耐久性の向上を可能とし、ディスプレーにおいて要求される初期劣化を大幅に改善することができます。

研究に関するお問い合わせ先

最先端有機光エレクトロニクス研究センター センター長 安達 千波矢

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