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研究成果

公開日:2017.03.10

軍隊アリ共生甲虫における古い時代からのアリ型形態の収斂進化

研究成果 農学

 アリの社会には実にさまざまな共生昆虫が生活しており、世界中で100科以上の昆虫が独立に進化しています。なかでも軍隊アリとよばれる放浪性のアリ類には多種の甲虫が共生しており、とりわけハネカクシ科ヒゲブトハネカクシ亜科甲虫において多様化が著しく、その形態はきわめて多様です。なかでも、アリそっくりの形態「アリ型形態」は特筆すべき事象で、これに行動的特化を伴いアリの社会に上手く適応できています。このようなアリ型のヒゲブトハネカクシ亜科甲虫には多数の種が知られており、その進化の道筋は興味深い課題でした。しかし、採集調査の困難さから、新鮮な標本が得難く、DNA情報を用いた正確な進化史については、まったく研究されていませんでした。今回、ヒゲブトハネカクシ亜科全体の系統樹にアリ型種の情報を組み入れ、系統解析を行い、さらに化石情報をもとに分岐年代の推定を行いました。その結果、アリ型種の系統は少なくとも12回独立に進化したこと、軍隊アリが現存の属に多様化し、生態的に優占し始めた新生代以降(約6500万年前)に現れ始めたことが判明しました。本研究はアリ型という特殊形態が古い時代に現れ、収斂進化を遂げていたという稀な例を示したとともに、軍隊アリがいればアリ型種が現れるという進化的な一つの方向性の存在を示しました。これまであまり知られていなかった顕著な収斂進化の一例を科学的に示した点において、重要な教科書的成果といえます。
 本研究成果は、平成27年3月9日(木)正午(東部標準時間)に学術誌「Current Biology」で掲載されました。

代表的な3組のアリ型ハネカクシ(それぞれ左)とその寄主アリ(右)

研究者からひとこと

 一昨年までの12年間、世界各地で軍隊アリを追いかけ、それらと共生するハネカクシを採集してきました。なにもかもが難しい調査で、ときにアリに全身を噛まれたり、熱病にかかったり、つらいこともありました。ようやく重要なハネカクシの標本が揃い、今回それらがこのような論文に姿を変え、言葉にならない達成感でいっぱいです。

論文情報

Deep-Time Convergence in Rove Beetle Symbionts of Army Ants ,Current Biology,
10.1016/j.cub.2017.02.030

研究に関するお問い合わせ先

総合研究博物館 助教 丸山 宗利

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