究極の有機EL発光材料を福岡から世界へ
2016.02.25
トピックス
本学の安達千波矢主幹教授(最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)・センター長)が内閣府最先端研究開発支援プログラム(FIRST)において開発に成功した,第三世代有機EL発光材料(TADF(※)材料)の実用化を担う(株)Kyuluxが,本技術を世界中で実用化できる体制を構築しました。 現在,テレビや携帯電話など情報機器の画面,いわゆるディスプレイの市場は,液晶パネルの時代から有機ELパネルの時代に代わろうとしています。 この有機ELは,“電気を通すと有機化合物自体が発光する”という単純な構造であるだけに,大きな可能性を持っています。 現在の“第二世代有機EL”と呼ばれる技術レベルでは,特許に関してはアメリカの企業が市場をコントロールし,製品に関しては韓国の企業が大きなシェアを占めていますが,安達主幹教授が開発に成功した新技術は第三世代と呼ばれ,究極の発光効率と低コストを両立する技術となります。 今後のディスプレイの世界は“より薄く軽く”を目指し,曲げられるものや折りたためるものなど多様化していきます。この新技術は,そんな変化に対応できる技術であるとともに,日中の明るい屋外でもディスプレイが見やすいなど世界の市場から注目の最先端技術となり,ディスプレイだけでなく照明などの分野でも次世代の期待を担っています。 また,福岡県・福岡市が推進するグリーンアジア国際戦略総合特区事業の認定を受けたことにより,地元の福岡県・福岡市をはじめ,国・NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)・JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)等,多くの支援を活用しながら,本学を中心にこの技術を福岡から世界に向けて実用化できる体制が整いました。これは,本学の研究成果を活用したベンチャーとしても過去最大規模のものとなります。 (株)Kyuluxは2018年の商品化を目指し,日本発のTADF,Hyperfluorescenceが有機EL発光材料の世界基準となることで,わが国の先端材料分野の国際競争力の強化を図ります。本学のOPERAにおいては,研究プログラムを通じて,更なる有機分子の無限の可能性にチャレンジし,未来の有機半導体の学理の開拓に取り組んでいきます。
詳細については,プレスリリースを参照ください。
(※)TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence):励起三重項状態から励起一重項状態への逆エネルギー移動を熱活性化によって生じさせ,蛍光発光に至る現象を示します。三重項経由で発光が生じるために一般に寿命の長い発光が生じることから遅延蛍光と呼ばれます。
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(上)九州大学と(株)Kyuluxの合同記者会見の様子 左より九州大学 若山理事・副学長,九州経済産業局 堀尾地域経済部長,
福岡市 高島市長,九州大学 久保総長,福岡県 山﨑副知事,
九州大学 安達センター長,㈱Kyulux 安達CTO,
QBキャピタル 坂本代表パートナー (中)研究成果の説明をする安達千波矢センター長 (下)事業の説明をする㈱Kyulux安達淳治CTO
お問い合わせ 九州大学 最先端有機光エレクトロニクス研究センター センター長 安達千波矢 TEL:092-802-6920 FAX:092-802-6921 E-mail:adachi★opera.kyushu-u.ac.jp ※メールアドレスの★を@に変更してください。
株式会社Kyulux 代表取締役CTO 安達淳治 TEL:092-834-9518 FAX:092-834-9618 E-mail:jadac★kyulux.com ※メールアドレスの★を@に変更してください。
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