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箱崎の近代建築物

応用物質化学機能教室(応用化学教室)

解説

 1944(昭和19)年に実施された空襲回避のための偽装塗料が残っていて、ところどころ黒ずんでいるが、3つの量塊のプロポーションが整っているため、落ち着いた風格が感じられる。正面の窓の割付は、中央の窓を軸に左右対称、しかも中央が3つで1組をなす以外は、2つの窓が1組をなして等間隔で並んでいる。加えて、各量塊の頂部を取り巻く突起物のバンドが絶妙なバランスを保っていること、一階中央の庇前面に渡した梁が単調になりがちなファサードを見事に分節していることが、風格を生んでいる。背面から中央部をみると、そこが階段室になっており、窓の高さは階段の傾斜に沿って右上がりに変化していること、その結果左右が非対称になっていることに気づく。また、背面では3つの窓で1組をなす割付けが東西両翼の突出部に認められ、その間は平坦で、量塊のバランスも変わっている。正面の静に対して背面のリズミカルな窓配置は、この建物の魅力の一つである。

コメント

  • 昭和初期に建設された建築物で、外観内装共に優れる倉田作品。工学部本館との類似もしくは移行期の特色がみられる。1923(大正12)年の工学部本館の火災を契機に、火気を避ける意味から本館とは別棟で建築されたものである。「地蔵の森」に隣接する本建物の姿は美しく、よく写真にも撮られている。
  • 初期の鉄筋コンクリート構造の建築物で、内部も建設当時の姿を色濃く遺しており、当時の実験の様子が極めて分かりやすい。応用化学の発展期の遺産であり、タイル張建築の早い事例。その時代の主張が屋根・窓などの各所に見られ、通気口を効果的に配置している。軒部分に凹凸を持ったタイルを並べる特徴は工学部本館などでも見られるが、こちらはそれに加えて背面階段室の窓配置等にも興味深いデザイン性を確認できる。蛇腹式の初期エレベータ施設は産業遺産としての価値を持っている。外観はアカデミックな雰囲気を示し、多くの人に受け入れられた。
1.建設年 1927年、昭和2年
2.設計者または組織 倉田 謙、小原 節三(設計技師)
3.施工者(設備・基礎工事等請負会社が異なる場合は記載) 佐伯組(現在佐伯建設)
4.規模  
階数 地上4階
面積 2,782㎡
正面×側面 49m×22m
5.方位(正面玄関の向き) 北西
6.構造(木造、煉瓦、RC、鉄骨)(組合せもあり) 鉄筋コンクリート
7.増築時期(記録に基づく) -
8.大規模改修の時期(記録に基づく) -
9.利用状況 平成18年から閉鎖中
10.資料(図面等) 図面24枚有
11.経年(平成27年4月1日時点) 88年
12.耐震性能(Is,調査年度) -
13.耐震経年指標(T,調査年度) -
14.コンクリート中性化深さの平均(㎜) 73.6
15.コンクリート圧縮強度(N/m㎡) 12.4
16.受賞歴、または、文献(出版社等)への記載等
  • 近代化産業遺産群 続33の選定(経済産業省)
  • 福岡の近代化遺産(弦書房)、福岡県の近代化遺産(財・西日本文化協会)
  • 平成17年度九州大学箱崎キャンパス内歴史的資源の現況調査成果報告書

参考文献

  • 平成17年度 九州大学箱崎キャンパス内歴史的資源の現況調査 成果報告書(平成19年2月 九州大学)
  • 九州大学箱崎キャンパスにおける近代建築物の評価報告書(平成24年12月 九州大学箱崎キャンパスにおける近代建築物の調査ワーキンググループ)

最終更新日:2016年6月23日

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