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研究成果

公開日:2017.12.06

極限環境でDNA複製の安全管理を行うCdc45/RecJファミリーの機能解明
—遺伝子複製装置の原理解明に期待—

研究成果 農学

 九州大学大学院農学研究院の石野良純教授、京都大学工学研究科の跡見晴幸教授らの研究グループは、アーキア(古細菌)のDNA複製・修復・組換えからなる、遺伝情報維持機構の解明に挑んでいます。アーキアはバクテリアと同様に原核生物でありながら、その遺伝情報システムは我々ヒトなどの真核生物と共通の祖先から進化したと考えられます。したがって、アーキア研究は、生物の複製機構の起原を理解することに繫がると共に、特に超好熱アーキアの研究から100℃という極限環境での独自の生命現象の理解が期待されます。
 Cdc45/RecJファミリーに属するタンパク質のうち、真核生物のCdc45はDNA複製反応の進行を担い、真正細菌のRecJはDNA分解酵素としてDNA修復・組換えに働くことがわかっていました。第3の生物ドメインであるアーキアに属するT. kodakarensisという超好熱細菌には、2種類のCdc45/RecJタンパク質が存在しており、一方のGANと名付けたタンパク質はDNA複製進行装置構成因子であると今年8月に同グループが報告しました。今回はもう一方のHANと名付けたタンパク質の役割を提唱したものです。HANは、複製反応を進行させるCdc45やGANとは異なり、何かの原因により複製反応が停止した際に、素早く修復して複製反応を再開するために働いていることを実験的に示しました。
 本研究成果は、地球上の生物が有するCdc45/RecJファミリータンパク質の機能の多様性を示すと共に、複製反応時のトラブル解消の方法に新たな知見を提供したものです。この修復機構が、生物共通に獲得されたものか、太古の地球における超高温環境で自らの遺伝情報を守るために、超好熱性アーキアだけが獲得したものなのか、さらには超好熱菌が生み出した原理的な修復のしくみが、進化の過程で他の生物に継承されてそれぞれの生物が独自の修復系へ進化させているかなど、いろいろと興味が尽きません。
 本研究成果は、オンライン国際研究誌「Scientific Reports」に2017年12月5日(火)に掲載されました。

図1:DNA複製フォークの進行・再開を2つのCdc45/RecJが制御している

研究者からひとこと

アーキア研究から生命現象の理解をすすめていきます。

研究に関するお問い合わせ先

農学研究院 教授 石野 良純
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