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箱崎の近代建築物

旧応力研生産研本館(法文学部本館)

解説

 外観のデザインでは、塔屋上部の連続する円弧状庇と、腰壁と呼ぶには余りに丈高く2階半ばに及ぶ水平の分厚いモールディング(段差などに施す建築意匠)が強く目を引く。このため、様式主義の建築のように思われがちだが、屋上から中庭を俯瞰すると窓周りなど装飾は極力排されていて、この建築が紛れもなくモダニズムの文法に従って構成されていることが分かる。ステインドグラス、タイル、メタルワークをみるとむしろアール・デコを意識したとも推測できる。設計図を見る限り、鉄骨の架構にコンクリートを被覆しているようで、フープ筋(柱に使用する剪断補強筋)を巻いていない分、現在の鉄骨鉄筋コンクリートより靭性に乏しいことが懸念される。1階の研究室、廊下、階段室を除いて内装は多くの部屋で改められている。

コメント

  • 大正末期に法文学部本館としてつくられた、関東大震災後の初期鉄筋コンクリート造建築。1964(昭和39)年の文科系貝塚地区移転まで法文経学部本館として使われた。
  • 独特の装飾と堂々とした風格のある倉田謙の代表的作品のひとつ。デザイン的には福岡日日新聞本社との類似性が確認できる。倉田式セセッション(幾何学的意匠や渦を巻く植物模様が見られる様式)確立期の作品であり、意匠上の見所が多い。大規模な建物であるため、二期(1925(大正14)年2月に本館前面、翌年3月に背面)に分けて建造が行われた。スチーム暖房、自動エレベータの設置など技術史的な評価も高い。
1.建設年 1925年、大正14年
2.設計者または組織 倉田 謙
3.施工者(設備・基礎工事等請負会社が異なる場合は記載) 岩崎組(現岩崎建設)、大正15年の背面部増設は佐伯組担当
4.規模  
階数 地上4階
面積 9,570㎡
正面×側面 60m×69m
5.方位(正面玄関の向き) 南東
6.構造(木造、煉瓦、RC、鉄骨)(組合せもあり) 鉄骨鉄骨コンクリート
7.増築時期(記録に基づく) -
8.大規模改修の時期(記録に基づく) -
9.利用状況 平成18年から閉鎖中
10.資料(図面等) 図面40枚+21枚有
11.経年(平成27年4月1日時点) 90年
12.耐震性能(Is,調査年度) -
13.耐震経年指標(T,調査年度) -
14.コンクリート中性化深さの平均(㎜) 25.3
15.コンクリート圧縮強度(N/m㎡) 9.5
16.受賞歴、または、文献(出版社等)への記載等
  • 総覧 日本の建築第9巻/九州沖縄(新建築社)、福岡の近代化遺産(弦書房)、福岡県の近代化遺産(財・西日本文化協会)
  • 平成17年度九州大学箱崎キャンパス内歴史的資源の現況調査成果報告書

参考文献

  • 平成17年度 九州大学箱崎キャンパス内歴史的資源の現況調査 成果報告書(平成19年2月 九州大学)
  • 九州大学箱崎キャンパスにおける近代建築物の評価報告書(平成24年12月 九州大学箱崎キャンパスにおける近代建築物の調査ワーキンググループ)

最終更新日:2016年6月23日

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