About 九州大学について

正門門衛所

箱崎の近代建築物

正門門衛所

解説

 正面入口上部のブロークンペディメント(西洋建築における一部欠けた切妻屋根の妻側屋根下部と水平材に囲まれた三角形の部分。日本建築の「破風」に該当する)は、福岡市赤煉瓦文化館(旧日本生命九州支店)によく似ており、小規模ながら、箱材キャンパス内に残る煉瓦造建築としてはよくまとまった上質の佳品である。屋内は改修されているものの、窓回りに古い形をとどめている。白い御影石の彫刻は繊細で力強く、屋根の棟飾りや空気抜きなど歴史的意匠が高密度に集約されていている。

コメント

  • 九州大学における初期の煉瓦造建築。箱崎キャンパスに現存する建築物では最古であり、正門脇という立地場所からも、小規模ながら長年にわたり地域のシンボルとして記憶に留まる建築物。地域住民にとって、正門とともに日常性のある地域景観資産である。正門とセットでとらえるべきであり、ランドマークとしての活用価値がある。正門とともに卒業生の記憶に残っている建物。小さな建築であるがデザインの質は高い。欠円アーチの連続した意匠はアールヌーボーの名残を留めているか。石材を要所に用い、明治期の形態をとどめた装飾も優れている。
  • 元々あった位置から大正13年段階で一度曳家を行っている所も面白い。大正後期の法文学部の創設工事に伴い、正門に向かって右側に移築された。この移築に伴い、意匠的には現在の建物裏側にあたる部分の方が装飾性は高い。門衛所として大学の〝顔〟の一つである。
1.建設年 1913年、大正3年
2.設計者または組織 倉田 謙
3.施工者(設備・基礎工事等請負会社が異なる場合は記載) 鴻池組
4.規模  
階数 地上1階
面積 34㎡
正面×側面 6m×6m
5.方位(正面玄関の向き) 南西
6.構造(木造、煉瓦、RC、鉄骨)(組合せもあり) 煉瓦
7.増築時期(記録に基づく) -
8.大規模改修の時期(記録に基づく) -
9.利用状況 箱崎地区の警備員の待機場所として使用中
10.資料(図面等) 図面1枚有。
11.経年(平成28年4月1日時点) 102年
12.耐震性能(Is,調査年度) -
13.耐震経年指標(T,調査年度) -
14.コンクリート中性化深さの平均(㎜)
15.コンクリート圧縮強度(N/m㎡)
16.受賞歴、または、文献(出版社等)への記載等
  • 福岡の近代化遺産(弦書房)
  • 平成17年度九州大学箱崎キャンパス内歴史的資源の現況調査成果報告書