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研究成果

公開日:2017.08.24

浚渫土砂のブロック化に成功
-船舶の大型化やゼロエミッション港湾の構築に期待-

研究成果 工学

 九州大学大学院工学研究院社会基盤部門の笠間清伸准教授は、海域港湾環境防災共同研究部門の善功企特任教授および中川康之教授、海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所の佐々真志グループ長および五洋建設株式会社と共同で、高圧脱水固化処理装置を開発し、高含水比の浚渫土砂(しゅんせつどしゃ)をブロック化することに成功しました。
 これまで船舶の大型化や安全運航を達成して航路を維持するため、底面を浚(さら)って土砂などを取り去る土木工事が行われ、その度に大量の浚渫土砂が発生していました。従来、浚渫土砂のリサイクルといえば、セメントなどの固化材を混合して安定処理したり、比較的低い圧力をかけ脱水・解砕して、ウォーターフロント開発の埋立材として利用が行われてきました。しかし、既存のリサイクル技術で発現する材料強度は200~500kPa程度であり、低質な地盤材料の一次的な強度改良としかなりませんでした。その他、浚渫土砂に高温焼成を施し、建築ブロックとして活用する研究も実施されていますが、費用と処理時間の面で実用化に課題があるだけでなく、適用対象が小型建築材料のために浚渫土砂の大量処分に結びついていないのが現状でした。
 今回の研究では、脱水を促進させるための脱水棒を製作するなどして「固化材混合ならびに高圧脱水固化による高強度化メカニズム」の大型化を進め、高さ1m×幅1m×奥行き1m(体積1㎥)程度の浚渫土砂ブロックを製造することに成功しました。写真の浚渫土砂ブロックは、山口県宇部港で浚渫された含水比200%の土砂を対象に、固化材を乾燥添加率で40%混合した後,49本の脱水棒を設置した高圧脱水固化処理装置を用いて5MPaの圧力で製造したものです。なお本研究は、国土交通省交通運輸技術開発推進制度「コンテナ船の大型化に向けた高圧脱水固化処理工法の開発」の支援の下で行われました。
 九州は近年、東アジアの窓口として大型コンテナ船が航行できるよう湾内や岸壁の大水深化が必要であり、それに伴い軟弱な土砂が堆積する博多湾や関門海峡に浚渫土砂が大量に発生している状況にあります。本技術を用いることで、浚渫土砂を大型海洋ブロック構造体として大量処分することが可能となり、浚渫土砂の減容化、土砂処分場の不要化、航路の大水深化によるコンテナ船の大型化が実現でき、ゼロエミッション港湾の構築も促進できるようになります。

写真1:高圧脱水固化処理装置の全景

写真2:製造した浚渫土砂ブロック

研究者からひとこと

今回の研究成果は、浚渫土砂をブロックとしてリサイクルする「高圧脱水固化処理工法」の開発の第一歩となります。大学で生まれた社会基盤整備に関する技術シーズを実社会で実際に活用される技術に到達させるためには、まだまだ課題がありますがそれら一つ一つを解決し、本工法の性能向上や本工法を用いた新土木材料の開発に繋げたいと考えています。

研究に関するお問い合わせ先

工学研究院 准教授 笠間 清伸

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