価値観のまったく異なる人々との出会いのおかげで、
今の自分がある

価値観のまったく異なる人々との出会いのおかげで、今の自分がある

2022.07.20

九州大学校内にて、李建志(リー・ケンジ)さん

PROFILE

インタビュイー:李建志(リー ケンジ)さん

所属:共創学部共創学科

進路:【就職】三井住友ファイナンス&リース

九州大学では2018年4月、新しく「共創学部」を設置しました。文理にまたがる多種多様な専門性を有する先生方を配置し、専門領域にとらわれない分野横断的な教育を提供。また、多くの外国人留学生を受け入れ、日本人学生とも日常的に交流できる環境を通して国際的な感性をもつイノベーション人材の育成に取り組む学部です。そんな同学部では、2022年3月に第1期生らが卒業するとのことで国や産業界、ほかの大学からもその活動内容や、就職先が注目を集めています。

そのひとりが、マレーシアからの留学生のリー ケンジさん。「国際的に活躍できる人材になりたい」と高い志をもつ彼は、在学中に個性豊かな先生方や学友たち、そしてインターンシップ先での経営者との出会いを通して彼らのマインドに触れ、視野を広げてきました。そうして、この4月からは、将来的に海外駐在もありえるという「三井住友ファイナンス&リース」に就職しました。

なりたい自分を目指せる気がして共創学部に

九州大学校内にて、李建志(リー・ケンジ)さん

日本人の母をもち、マレーシアにいた頃から日本語が話せたというリーさん。自然な流れで日本での進学を考えていた彼でしたが当時、具体的に何をやりたいのかがまだ見つからず、進学先までは決めかねていました。そんな時、全国の大学で増えてきたのが「共創」を掲げる学部。特定の専門性にとらわれず、横断的にさまざまな分野に触れられる「共創」という考えに興味をひかれていきます。その中でも、なりたい自分を高いレベルで実現できると感じたのが九州大学でした。「実際に社会人として働くことを考えると自分の考えをいかに、相手に正確に伝えられるとか、他人の意見を素直に認められるとか、学問以外のスキルこそ大切になると思うんです。それらを学生のうちに経験できるところはそうありません」と現実の社会を想定した、実践的なグループワークを豊富に展開する九州大学の教育方針に共感し、共創学部を進学先として決めたそうです。

国際的な活動に関心の高いリーさんが、印象深かったというのが留学経験。共創学部では異なる文化のなかで学び、活動する経験を積むことで、国際理解や知識の拡大、言語能力とコミュニケーションの向上をはかるべく、すべての学部生に海外大学への留学を必須としています。彼が留学したのはイギリス・ケンブリッジ大学の研修プログラムで、2年生の頃に1カ月間ほどでした。現地ではサイエンスグループに参加し、植物園や天文台に出かけたり、化学実験に挑戦したり。また、同プログラムでは毎週金曜から日曜までの3日間は自由行動で、自ら旅行を企画し、チケットも取ってイギリス各地を巡りました。「実際に行ってみるとボイコットで電車が止まって、計画通りになりませんでした。でも、そのバタバタ感がまた楽しくて」と留学を振り返り、日本にいたのではできなかったであろう経験ができ、教室だけでは得られない見識を広げられたといいます。

4年の大学生活で一番の財産は人との出会い

九州大学校内にて、李建志(リー・ケンジ)さん

人が将来について考え、何かに踏み出すとき、そのきっかけとなるのは多くが、人との出会い。リーさんもまたそのひとりで、大学で過ごした4年間での一番の財産は多様な価値観をもつ人々との出会いでした。共創学部では新入生歓迎会やハロウィンパーティなど度々、先生と学部生が一緒に参加する催しを企画しています。そこは堅苦しいセレモニーのような場ではなく、ジュースや軽食片手に談笑しながら「(先生が)こういう研究しているんだよ」「(学生が)これに興味があるんですが、何から調べればいいですか」と相談もできるような空間。リーさんを含め、その場で興味を見つけて担当教員を決めたり、交友関係を広げられたりした人は多いといいます。

また、共創学部のようにいろいろな分野を学べる学部には、それぞれの学問に興味がある人材が集まります。それだけ多種多様な価値観をもつ、個性豊かな学友と出会えるわけです。誰に言われるでもなく自ら何かを企画、運営する学部生も珍しくないとのことで、リーさんも学友が企画した英単語帳『WORDQUEST:世界とつながる上級英単』の出版や、ラジオ番組『ケロケロ見聞録』の制作などに参加しました。「単純に面白い人、志の高い人が多くて、彼らとの出会いで自分も意識が高められました」と当時を振り返ります。さらに、学部内のつながりで参加したインターンシップでは、「こういう大人になりたい」と目標にできる経営者にも出会えたとのことです。

出会いを大切にいつか自分も面白い人になる

九州大学校内にて、李建志(リー・ケンジ)さん

「人はいい出会いに巡り合えるかで、その後の人生が大きく変わると思います。私もそうでした。でも、そのためにはまず自らの意思で、どこかに一歩踏み出さないといけません」とリーさん。就活では書類選考で落とされ、一次面接さえなかなか通らない日々に挫折しかけていたところ、最後に参加したイベントで今の会社に出会い、内定をもらいました。大学での4年間、さまざまな出会いに支えられた彼はこれからもひとつの出会いを大切に、面白い人を目指していきます。

最後に、リーさんは進学先や、将来に不安を抱える後輩らに向けて「大学生は社会人になる一歩手前で、価値観を変える一番のチャンス。できるだけ価値観の違う人と、一緒にいる方がいい刺激になるのは間違いありません。同じ価値観の人とばかり過ごしていたら、今の自分のまま成長するのは難しいでしょう。それこそ共創学部は先生も、学友も面白い人ばかり。まだ進路に悩んでいるのなら、思い切って飛び込んでみてほしい。そうして、いろいろな人との出会いを通して価値観を吸収していけば、いつの間にか自分も面白い人になれています」とエールを送りました。

取材/執筆 堀本一徳(TRUNK.)

関連記事
 
岩元 陽さん

岩元 陽さん

【就職】株式会社PR TIMES

もし今、やりたいことがないのだとしたら、とりあえず飛び込んでみてはどうでしょう。ほかの大学ではあとから方向を変えるのは難しいですが、共創学部なら……

 
 
 
中込 睦生さん

中込 睦生さん

【進学】大学院生物資源環境科学府

(高校3年生のとき)私も、そうでした。将来、何をすればいいのか不透明で……。でも、共創学部で生物学という興味を見つけ、そこから自らの道が少しずつですが……