Research 研究・産学官民連携
芸術工学部 未来構想デザインコース(芸術工学研究院 デザインストラテジー部門)
准教授 尾方義人
私の専門は工業デザイン(産業デザイン・インダストリアルデザイン)です。これまで、病院・介護施設や住宅・商業施設などのインテリアデザイン、家具や道具・機器、交通機関などの製品デザイン、ロゴやポスターなどのグラフィックデザインを行い、今もこれらを実践的に行っています。
これまでのデザイン研究
2020年度からは、前述の領域のデザイン教育・研究を行いながら、新しくできた「未来構想デザインコース」で、特に問題提議(スペキュラティブデザイン)におけるデザイン方法論の研究を行っています。
経済や社会が成長している時代では、解決すべき具体的な対象や問題が明確でした。しかし、最近の社会では問題が複雑でそもそも何が問題かわかりにくい状況が多々あります。例えば、プラスチックの問題、LGBTsの問題、災害、貧困や子育て、認知症や感染症対策、SDGsなど問題があることは皆わかっているのですが、それがどんな構造でどんな意味か難しく気づきにくいことが増えてきています。
未来構想デザインでは、そういったことを提示・表現し、そして設計・実践し、社会に実装していくことを教育体系化していきます。
例えば、アートやデザインの表現法や思考法、デザイン哲学や芸術社会学の概念や事実を理解する方法、生命科学や情報科学に基づく先端の科学的方法を総合的・融合的に学びます。
尾方の考える未来構想デザイン
尾方の考える未来構想デザインの方法
例えば、学生さんと「ことばとジェンダー展」を企画・デザインし、実施しました。これは「ジェンダー」に対し、さまざまなアプローチで考えてもらったり、気づいてもらうためのデザインです。展示だけでなく、アンケートも新しい質問方法をデザインし展開しました。デザイン学・社会学や芸術学の先生はもとより、生物学・生理人類学や数学の先生と連携することにより新しいデザインアプローチが広がっています。
ことばとジェンダー展
例えば、地方自治体と「再生プラスチックの問題」を考えています。住民が積極的に回収し、それを再生プラスチックにするための多様な技術を組み合わせ、そしてそれを住民が考えた住民のための製品で再利用していこうというプロジェクトです。ゴミ収集だけでなく、工学技術だけでなく、自分たちのこととして行動し考え、また自分たちのために戻ってくる、そんなしくみが動き始めています。このプロジェクトも環境経済学の先生とともに工学・行政・流通・SDGsの専門家とデザインしています。
大木町マテリアルリサイクルデザイン プロジェクト
始まったばかりの未来構想デザインですが、未来の授業・未来の卒研・未来の入試も考えて実行しています。
既存の領域ではない未来の授業、様々なアプローチと深い専門性からの横断的卒業研究の可能性、多様な人材を求めるオンライで行う総合型・推薦型入試の可能性など、どんな研究や教育、そして入試が必要か、常に考え、実践をし続け、本質的に豊かな社会を育む未来構想デザイン教育方法を研究していきます。
「未来の授業」https://www.df.design.kyushu-u.ac.jp/future-classes/
「未来の卒研」https://www.design.kyushu-u.ac.jp/topics/7690/
「未来の入試」https://www.design.kyushu-u.ac.jp/topics/7831/
■お問い合わせ先
芸術工学部未来構想デザインコース 准教授 尾方義人