Academics 学部・大学院等

比較社会文化学府

比較社会文化学府 Graduate School of Social and Cultural Studies

 本学府は、平成6年(1994)に九州大学大学院比較社会文化研究科として発足し、平成12年(2000)に、九州大学の「学府・研究院制度」採用にともない、大学院比較社会文化学府と改称しま した。発足以来、1000名を超える修士の学位取得者及び280名を越える博士の学位取得者を輩出してきましたが、平成26年(2014)に新学府「大学院地球社会統合科学府」に改組しました。本学府の教育理念は今後は新学府で継承・発展させていきます。

教育理念

教育理念・目標
 本学府は、つぎの4つの理念を研究・教育の柱としています。
(1)異なる社会文化の共生を目ざした研究教育:
グローバリゼーションのもたらす諸問題を前にして、異質な社会に暮らし、異なる文化を生きる人々の間に、違うからこそお互いを豊かにしあうような関係を育ててゆく。
(2)学際的なアプローチ:
現代社会が直面している問題に対して、社会科学、人文科学、自然科学のさまざまな分野から総合的にアプローチする。
(3)日本と世界を結ぶ行動人の養成:
たしかな知識に裏打ちされた批判意識をもち、それと同時に、自分と異質なものに対しても、しなやかな感受性をもつ、発信し行動する実践的な国際人を育ててゆく。
(4)社会に開かれた学問:
本学府を、さまざまな職業分野での専門家をめざす、国籍や性や言語や社会体験などの点で異なる人々が出会い、共に生き、互いを高めあう場としてゆく。
 以上のような理念にもとづき、本学府は、異なる社会文化の共生をめざし、学際的・総合的なアプローチによって、国際化、情報化、地球環境問題などの現代社会が抱えた諸問題の解明に中核的役割を担う研究者及び高度専門職業人を組織的に養成することをめざしています。

養成する人材像
 上記の教育目標にそって、本学府では、つぎのような人材の養成をめざしています。
(1)次代を担う専門的研究者の養成
(2)さまざまな職業分野での実践をとおして、大学院での研究の成果を活かす専門家
(3)社会人体験を経たのちに入学し、その体験を活かして活躍する専門家
(4)本学府における留学の成果を、自国あるいは他の国での活動に活かす専門家

修了認定・学位授与に関する方針
 学位論文のテーマ選定と執筆に際しては、高度の学問的水準が要求されることは言うまでもありませんが、本学府では、学際的研究を奨励する観点から、従来の大学院では、扱うことが難しかったようなテーマへの挑戦を積極的に評価しています。また、国内外における実地調査研究の成果を高く評価しています。

教育プログラム

教育課程の特色・内容・方法
 専門性にもとづく学際的・総合的な研究手法獲得という立場から「比較社会文化」と「理学」の学位取得をめざします。このために専攻を軸にしながらも、専攻を横断した「コース」や「プログラム」を設け、幅広く単位を取得するカリキュラムを編成して、専門分野を固めながら学際的な研究展開が行いやすくなっています。また柔軟かつ十分に単位を取得できるように、授業科目はすべて選択にし、専攻および科目群で必要単位数を定めるにとどめています。修士課程では、講座・分野単位での総合演習(専門をふまえた学際的討論演習)と調査研究方法論(実験・調査、データ・資料分析の演習・実習)を軸に、教員単位の個別ゼミと論文指導ゼミが用意されます。博士課程では、博士論文のための段階的なゼミを配置し、系統的な指導に取り組んでいます。

研究指導体制
 個々の閉じられた専門性ではなく、異なる文化社会の共生をめざし現代社会が抱える諸問題への学際的・総合的研究手法の実現のために、1人の学生に対して、学生の専攻領域と希望にそくして複数の教員が指導に当たる指導教員団制度(集団指導体制)が大きな特色です。この制度を軸に、個別的な専門指導と学際的・総合的指導をおりまぜた研究指導体制をとっており、各教員団には世話人をおき、連絡調整などの責任所在を明確化しつつ、学習相談や助言の窓口を複数、また随時的に設けています。

修了要件、成績評価基準、評価方法等
 修士・博士とも複数教員が参加する授業科目については、参加教員の協議のもとに成績評価がなされるので、評価の客観性・公平性が担保されています。また修士修了認定(最終試験)も、3名の指導教員団に1名以上の教員が副査として加わることで、審査の客観性・公平性を担保し、教授会審議で最終試験結果の妥当性がチェックされます。博士論文の調査委員は主査1名、副査4名で構成され、学外からも積極的に審査員を入れております。審査段階は、予備審査、受理審査、最終試験の3段階で構成され、最終試験は公開です。また修士・博士論文の完成までに段階的な公開評価制度を設けております。このように複数制や公開性に裏打ちされた客観的な評価法がとられます。

求める学生像(求める能力・適性等)

 本学府では、つぎのような学生を求めています。
(1)自主的に研究テーマを発見し追究するモチベーションと能力を備えた学生
(2)本学府の教育の学際的内容に価値を認め、それを積極的に活用する意欲のある学生

入学者選抜の基本方針(入学要件、選抜方式、選抜基準等)

 本学府では、修士課程については、一般的学力を主たる選抜基準とする、秋季・春季の選抜試験(専門科目と外国語の筆記試験および口述試験)のほかに、モチベーションや個別能力の高さに基準を置いた個別選考試験(いわゆるAO入試にほぼ相当)を実施しています。
また、本学府の教育目標である、学際性・国際性をもった人材養成のため、入試においては留学生と社会人を定員の内数として、積極的に受け入れるように努めています。その結果、平成19年度修士入学者54名のうち、個別選抜試験による入学者は10名(全体の19%)、社会人は14名(26%)、留学生は20名(37%)となっています。
 博士課程については、提出された修士論文・研究計画書等にもとづく口述試験を春季に実施し、博士の学位を取得する意欲と能力を、最も重要な基準として選抜しています。なお、進学者のほぼ半数は他大学大学院の出身者となっております。