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Research 研究・産学官民連携
芸術工学研究院 ストラテジックデザイン部門
准教授 田村良一
デザインの対象が抱えている問題は、当該の課題の解決に加えて、それをシステムとして解決することが重要です。そのためには具体的なデザイン対象に基づく縦割り的なデザイン領域に止まらず、それに関係する多様なステークホルダーなどにも着目した横断的な解決も必要になります。そこで、デザイン対象やデザイン行為をシステムとして捉え、「そのシステムがどのような構造であるのか理解できるようにする『構造の同定』」および「最適なデザインをするためにシステムのどこに着目して進めていけばよいのかを推定する『因果の推定』」の観点から研究を行っています。
最近の研究テーマとして、元気な高齢者のためのサービスデザイン研究があります。高齢者の多くは、加齢に伴い全ての能力が低下するわけではなく、肉体面でも精神面でも元気です。一方、家族類型別世帯数をみると「単独世帯」の割合は上昇しています。また、大都市近郊の団地などでは多くの孤立(孤独)死報道もなされています。このような背景のもと、元気な高齢者のQOL向上を目的としたサービスデザインの創出に向けて、これまで高齢者の属性と生活意識の関係の構造化や、時間記録と行動変容との因果の関係などについて研究を行いました。
前者について、調査した生活意識のうちの一つである「日常生活の楽しさ」の結果について、一部を抜粋して紹介します[参照1]。分析対象者を表1に示します。新たなサービスを検討する際の指針と考えられる「社会交流因子」、「日常活動因子」、「屋外活動因子」、「嗜好活動因子」の4因子が抽出でき、4つに分類したクラスタの特徴を把握しました(表2)。次に性別・世帯構造別の特徴を把握するため、4つのクラスタごとの該当人数をもとにカイ二乗検定・残差分析を行いました(表3)。その結果、「クラスタ2:嗜好享楽型」、「クラスタ4:日常享楽型」では性別、「クラスタ1:交流享楽型」、「クラスタ3:非享楽型」では性別・世帯構造の違いが影響していることが示唆されました。
表1 分析対象者の性別・世帯構造および年齢別にみた内訳
表2 日常生活の楽しさを感じる活動の4クラスタの因子得点の平均値
表3 日常生活の「楽しさ」に基づくクラスタのχ2検定の結果と調整済み残差
注:両側検定による残差分析の有意確率は、|r|>2.58ならば、p<0.01 |r|>1.96ならば、p<0.05となる。表中において、r>2.58は濃赤、2.58>r>1.96は薄赤、r<-2.58は濃青、-1.96<r<-2.58は薄青で表示した。
2017年6月、台湾の國立成功大學と学術交流協定および学生交流協定を締結したことを踏まえ、その活動の一環として、2018年度から「アジアにおけるIoTソーシャルイノベーションデザイン」を広義のテーマとする合同デザインワークショップを毎年実施しています[参照2]。地域住民、部局内外の先生方などにもご協力をいただき、それぞれの文化・習慣などを相互に理解しながら、IoTを活用したサービスデザインを考案しています。
写真1 集合写真(2019年度 成功大学)
写真2 ワークショップの様子(2019年度 成功大学)
写真3 中間プレゼンテーションの様子(2019年度 成功大学)
写真4 冊子(2018~2021年度)
[参照1]
田村良一, 古屋繁, 都甲康至:元気な高齢者の生活意識に関する基礎的研究―QOL向上を目的としたサービスデザインの創出に向けて、デザイン学研究、66(1)、pp.19-28、2019 DOI: https://doi.org/10.11247/jssdj.66.1_19
[参照2]
これまでの九州大学と成功大学のジョイントデザインワークショップ
九州大学×成功大学 ジョイントデザインワークショップ 2018
九州大学×成功大学 ジョイントデザインワークショップ 2019
九州大学×成功大学 ジョイントデザインワークショップ 2020
■お問い合わせ先
芸術工学研究院 ストラテジックデザイン部門
准教授 田村良一