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研究スーパースター支援プログラム -4+2+4アクションプランの実行-(2004年12月3日)

歴代総長メッセージ(梶山千里元総長)一覧

研究スーパースター支援プログラム -4+2+4アクションプランの実行-(2004年12月3日)

 本年4月よりスタートした国立大学法人体制の構築と推進に対する、九州大学構成員の協力と支援に感謝致します。「法人化」という言葉の切り口は多種多様で、例えば、選択と集中、単一と多様、自由と責任・義務、競争と協調、集団と組織等が挙げられます。「集団と組織」ということ一つ捉えても、国立大学時代には各部局の教授会が運営・人事・学務・研究事項に関して基本的に決定権を持ち、九州大学はその様な部局の集団でした。国立大学法人になり、理事会、教育研究評議会、経営協議会が各々責任を持って任務を遂行することによって、運営・財務も含めた大学に関する全ての事項に、集団としてではなく組織としての評価がより重要となってきました。その意味では、各理事の担当業務はコミットメントを伴っていますし、理事会の長である学長は大学運営・経営にリーダーシップを発揮することと中期目標・計画やロードマップの実行・完遂に向けて、常に全てに責任を負うことになります。

 九州大学を教育・研究の世界的拠点として持続的に発展させるためには、教育・研究分野での"九州大学のブランド"作りが不可欠です。"九州大学のブランド"とは何かという定義は、社会が大学に何を求めているかによっても変わってきますが、教育・研究に於ける質の高さと学術的ピークの数、更に国際的認知度と考えても良いでしょう。卓越したブランド力のない大学には、優秀な学生や高度な能力を持つ研究者は集まって来ませんし、社会的波及効果のある産学連携や、実効ある国際交流も行なわれなくなります。

 九州大学に於ける国際的に卓越した研究拠点作りには様々な仕掛けが必要です。そのためにはまず、研究レベルとアクティビティーが高く、独創的・創造的な研究者の獲得と研究集団の組織的構築が不可欠です。そのひとつとして執行部が責任を持って、「4+2+4アクションプラン」(総長からのメッセージ-法人化を越えて(2004年4月1日)参照)の実行を構成員に対して目に見える形で示す必要があります。「研究スーパースター支援プログラム」は、①21世紀COE拠点リーダー、②国内外に於いて専門研究分野のみならず、学術振興や社会連携で目覚しい活躍をし、九州大学の名前を世界レベルで広げ、研究者として確立した(senior)研究者と、③今後、九州大学あるいは日本を背負って立つ可能性がある将来のスーパースターとなることが期待される若手(junior)研究者を、九州大学が積極的に支援する制度です。特に、4+2+4の最後の"4"は、研究費、研究者、研究時間、研究スペースに対する九州大学の積極支援を意味しています。この様な制度は、法人化に於ける"選択と集中"の切り口の実証であると理解していただきたいのです。

 「研究スーパースター支援プログラム-4+2+4アクションプランの実行」のための人選は、次のようなプロセスを経て決定致しました。前述しましたように、①21世紀COEプログラム拠点リーダー、②研究拠点リーダー(senior研究者)、③若手研究リーダー(junior研究者:スーパースター作り)の3つのカテゴリーに分け人選致しました。①に関しては、21世紀COEプログラムの拠点リーダーです。②に関しては、現在、九州大学の研究のリーダーとして既に大型プロジェクトを展開しているか、その学問的領域や学会で指導的立場にある教員とし、③に関しては、基本的に45歳以下で、研究活動が顕著で卓越した研究を現在行なっていると社会的に認知され、現在、研究にもっとも脂が乗り、かつ将来の日本あるいは九州大学を背負って立つ可能性のある教員としました。特に、②と③の人選に当たっては、複数の他大学関係者、元九州大学関係者からの情報を重視し、最終確認のために現九州大学関係者とも相談しました。更に慎重を期すために、九州大学ホームページの研究者情報から、候補教員の研究活動、研究費獲得状況、教育・研究成果、社会貢献等を詳細にチェックし、更に研究情報誌、インターネット情報、新聞・テレビ等情報を加味し、候補者を絞り込みました。人選は研究組織、学問領域にも配慮し、他研究機関から推薦が無かった研究領域におけるjunior研究者に関しては、再度複数の大学関係者に調査を依頼し、情報の確実性を期しました。執行部で絞り込んだ②、③の教員に対して、更に研究戦略委員会で最終チェックをお願いし、本プラグラムの趣旨に沿った相応しい研究者であるかを再確認し、最終的に下記の方々を「研究スーパースター支援プログラム」の支援対象者と決定致しました。今回、支援対象に入らなかった教員の中にも、九州大学には各々の研究分野で世界的に活躍し、今後、日本の研究を背負って活躍することを嘱望されている若手研究者が多数居ることも知っていますが、支援の為の研究費総額、換言すると支援対象者数にも限りのあることをご理解いただき、来年以降の選考に期待していただきたいと思っています。

 九州大学は、教育・研究分野に於ける世界的拠点構築のために、10~20年後を見据え、研究活動が卓越し、将来性のある研究組織と研究者個人に対して積極的に支援する21世紀COEプログラムの九州大学版に先行投資することが不可欠ですし、中期目標・計画を着実に進めていかねばなりません。今後、21世紀COEプログラムの将来計画実施に向け、新たな教育・研究拠点構築も「研究戦略拠点構築プログラム」として実現、実行していきます。今回の「研究スーパースター支援プログラム」は、九州大学の世界的な教育・研究拠点作りに対する先行投資プランの一部であると、九州大学の構成員には理解していただきたいと思います。

平成16年12月3日
九州大学総長 梶山 千里

 

1~3の支援に対する研究者名は以下のとおりです。

  1. 21世紀COE拠点リーダー
    藤木幸夫(理学)、新海征治(工学)、前田三男(シス情)、名和田新(医学)、中尾充宏(数理)、松藤泰典(人環)、村上敬宜(工学)、栃原 裕(芸工)

  2. 研究拠点リーダー(senior研究者)
    河野俊行(法学)、巌佐 庸(理学)、橋爪 誠(医学)、入江正浩(工学)、堀田善治(工学)、楠田哲也(工学)、安浦寛人(シス情)、都甲 潔(シス情)、割石博之(農学)、赤司浩一(医病)、伊藤早苗(応力)

  3. 若手研究リーダー(junior研究者:スーパースター作り)
    山口輝臣(文学)、鏑木政彦(比文)、北川 宏(理学)、岩崎克則(数理)、牟田達史(医学)、兼松 隆(歯学)、片山 勉(薬学)、君塚信夫(工学)、石原達己(工学)、岸田昌浩(工学)、山本元司(工学)、島岡隆行(工学)、 高木英行(芸工)、竹田正幸(シス情)、水野清義(総理)、佐々木一成(総理)、立花宏文(農学)、中山敬一(生医)、福井宣規(生医)、竹田 潔(生医)