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久保総長 年頭の挨拶(2015年1月1日)

総長式辞・挨拶等

年頭の挨拶 「躍進百大」(2015年1月1日)

九州大学総長   久保 千春

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年10月に第23代九州大学総長に就任し、3ヶ月が経過しました。これまでさまざまな方とお話する中で、本学に対する高等教育・研究機関としての期待や要請が非常に強いことを実感しています。就任にあたり以下5つの将来ビジョンを掲げましたが、2015年はその実現に向け、着実に前進していく所存です。

  1. 世界へ躍進する九州大学へ
  2. 学生・教職員が誇りに思う充実したキャンパスづくり
  3. グローバル人材の育成
  4. イノベーション創出・研究力強化
  5. 社会と共に発展する大学

1.世界へ躍進する九州大学へ

 九大百年に際し、今後の新たな百年に向けて掲げた基本理念「自律的に改革を続け 教育の質を国際的に保証するとともに 常に未来の課題に挑戦する活力に満ちた最高水準の研究教育拠点となる」とその実現のための行動計画を着実に実行します。

 また、本年4月には、大学のガバナンス改革に対する社会の要請等を踏まえ、国立大学法人法や学校教育法などの関係法が改正されます。本学においてもガバナンス改革のための準備を整えているところですが、ガバナンス改革の目的は、権限と責任の所在を一致させ、スピード感をもった大学運営を実現することです。包括的な最終責任者としての学長の権限が重要視される一方で、各部局や大学構成員との意識の共有が大切になってきます。教職員・部局との対話を大切にし、信頼関係を築きながら世界へ躍進する九州大学になるようにしていきたいと思います。

2.学生・教職員が誇りに思う充実したキャンパスづくり

 移転が始まって10年目を迎えますが、早期の移転完了を目指し、スケジュールを1年前倒して平成30年度までの移転完了を目指してまいります。昨年3月には伊都キャンパスに最大約3000人収容可能な本学の学術、芸術、文化の拠点となる『椎木講堂』が完成し、大学本部機能も箱崎キャンパスから椎木講堂に移りました。理学系施設である総合研究棟は本年9月の完成に向けて着々と整備を進めていますが、教育・研究施設だけでなく、生活のための環境整備も各方面の関係者と協議しながら並行して進めていきます。病院、筑紫、大橋の各キャンパスの整備も引き続き進めてまいります。

 また、本年は箱崎キャンパス跡地利用に関して重要な一年になります。今後も地域や関係機関の皆さまとの対話・協議を続け、地域の一層の発展へとつながる跡地利用の実現を目指します。

3.グローバル人材の育成

 昨年、「基幹教育」が開始されました。全ての学生が「基幹教育」の中で「学び方を学び、考え方を学び」、専門分野の学びへと移る前に基礎的な力を醸成しています。本学で学ぶ学生の多くが属するいわゆる青年期は、柔軟な思考を通して自分自身の方向性を見出し、アイデンティティを確立していく大切な時期です。学生たちには、学問と真摯に向き合い、学ぶことの喜びを実感し、さらに自身を見つめること、すなわち「自分とは何なのか」「何をしたいのか」と「主観を磨く」ことを語りかけていきたいと思います。

 昨年9月に採択されたスーパーグローバル大学創成支援事業も、本年から本格的にスタートします。日本人学生と留学生が共に学ぶ「国際教養学部(仮称)」構想は九州大学のグローバル化の中核をなすものであり、2017年開講に向けた計画の具体化をさらに加速させていきます。

 グローバル人材の育成や大学の国際競争力の向上は、社会から大学への期待・要請として、強く感じています。その期待に応えられるよう、制度改革と組み合わせた大学の国際化を進めてまいります。

4.イノベーション創出・研究力強化

 いよいよ水素を燃料にして走る燃料電池車(FCV)が市場に投入されました。水素利用をめぐる社会の動きは産学官連携で加速しつつあり、まさに本年は「水素社会」の幕開けとなります。九州大学は知の世界的拠点大学として、また、日本を代表する基幹総合大学として、イノベーション創出に取り組み、日本で世界に先駆けて水素社会が実現することに貢献していきたいと思っています。また、そのほかの分野においても、イノベーションの創出によって大学の成果を見える形で社会に示し、社会貢献の責務を果たしていきたいと考えています。

 国立大学を取り巻く環境は年々厳しさを増していますが、年央には第3期中期目標期間における国立大学運営費交付金の在り方に抜本的な見直しがなされる見通しです。研究力強化や組織改革が求められていますが、九州大学ではこれまでも取り組んできた改革を、さらに進展させていきたいと思います。

 個々の自由闊達な研究活動を大事にして各部局が活性化するとともに、未来を拓く若き研究者たちが希望を見出せる大学となるために研究環境を整備していきます。

5.社会と共に発展する大学

 これからの九州大学が目指す姿として、「社会の課題に応える大学」となることを表明しています。地域社会、産業界、市民などが求める新しい科学領域に挑戦し続ける人材を育成し、地域社会、産業界の皆様と連携しながら、社会の多様な課題に応えていく所存です。

 大学を社会にアピールするため、広報機能も充実させてまいります。スーパーグローバル大学創成支援事業において、戦略的なレピュテーション・マネジメントのための体制作りが緒に就いたところです。本年は、すべての分野で世界のトップ100大学へ躍進するために、積極的な情報発信能力の強化を加速させていくことが大切です。

おわりに

 九州大学のすべての学生、教職員の皆様が夢と希望が持てる世界に躍進する大学づくりを目指します。

 そして本年が、その夢と希望に向かって躍進する素晴らしい年になることを祈念して、新年のご挨拶といたします。