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平成27年度 秋季学位記授与式(2015年9月25日)

総長式辞・挨拶等

平成27年度 九州大学秋季学位記授与式告辞(2015年9月25日)

本日は、学士57名、修士141名、専門職学位課程2名、博士170名、合計370名の皆さんが卒業・修了します。この内、留学生は247名です。皆さんの、これまでのたゆまぬ研鑽努力に対し深い敬意を表し、学位を取得されましたことを心からお祝い申し上げます。

また、皆さんのこれまでの学習・研究を支えて下さったご家族、ご指導を頂いた先生がた、学科・専攻・研究室等の関係者に対しても、心からのお祝いと御礼を申し上げます。

九州大学では、2010年10月から教育の国際化プログラムにより設置した国際コースの入学生を対象にして秋入学を実施してきました。この国際コースには、工学部と農学部、大学院では、すべての学府が対応し、合計60近くのコースを設けています。2012年度からは、これらの国際コースや大学院に加えてJTW、JLCCといった短期プログラムへの入学生も一緒にした、秋季入学式を実施しています。 そして学位記授与式は、学部や修士課程、博士課程も一緒にして、秋にも行うようになりました。秋季の学位記授与式は、皆さんの日本語能力も向上しているということで、例年に倣って日本語で行っています。

さて、皆さんが在学していた2年から6年の間に、九州大学は大きく変わりました。これについてご紹介したいと思います。

この伊都キャンパスは、2005年秋に工学系の第一陣が移転して開校して以来、10年が経過しました。伊都キャンパスの整備が着実に進んでおります。

伊都キャンパス移転は第1ステージから、第2ステージを経て現在第3ステージであります。この秋には、約1万2000人の学生教職員がおり、2018年には約2万人の人がいるキャンパスになります。

この移転事業は来月の理学系総合研究棟、来年の国際化拠点図書館の建設さらに人文社会系と農学系や農場を含め、全ては3年半後の2018年度までには完了する見込みです。

最近では、椎木講堂、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、伊都ゲストハウスが完成しました。

その他に、今年になって共進化社会システムイノベーションセンターやカーボンニュートラル・エネルギー国際研究所第2研究棟が開設されました。また、留学生と日本人が混住するドミトリーや伊都協奏館も昨年完成しています。

理学系総合研究棟が完成し、この10月1日に開所式を迎えます。その後、国際化拠点図書館、人文社会学系建物や農学系総合研究棟が建設されます。

その他の病院地区、大橋地区、筑紫地区キャンパスの整備もなされています。一方、箱崎地区は売却に向けて順次建物の解体が行われています。

ところで皆さんが入学してから、国内外において、実に様々なことがありました。すこし、振り返ってみたいと思います。 国際的には6年前の2009年にはオバマ氏がアメリカ大統領に就任、新型インフルエンザ大流行、2010年にはアラブ諸国で反政府デモ、ギリシャ財政危機、2011年にはニュージーランド地震がありました。

2012年にはシリアの内戦泥沼化、2013年にはフィリピン台風被害、四川省大地震があり、昨年の2014年にはエボラ出血熱の大流行、ISIL(イスラム国)の台頭などがありました。

2015年には、ネパール大地震、アメリカ・キューバの国交回復、ギリシャ財政緊縮の国民投票、シリアなどからの欧州への難民殺到が現在も続いています。 このように世界情勢は政情不安が続き、民族間や、宗教・宗派間の深刻な対立や暴動、各種のテロ行為等、深刻の度合いは大きくなっています。日本を取り巻くアジア諸国においても、政府間の対立や緊張が続いています。

国内ニュースでは、何といっても、一番大きな出来事は、4年半前の2011年3月11日に発生した東日本大震災でした。この地震とそれに伴って起こった津波によって1万6,000人近い貴い命が失われました。福島第一原子力発電所事故の終息にはまだまだ長い年月がかかります。

2013年では明るい話題として2020年の東京オリンピック開催が決定したこと、昨年は日本人3名がノーベル物理学賞を受賞したことなどがあります。

今年では北陸新幹線の開業、選挙権が18歳以上になったこと、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録決定や関東・東北水害などがあげられます。このように度重なる大水害等の自然災害が頻発していますが、予報を含めた科学技術がこれほど進んできても、依然として自然の力の凄まじさを認識させられています。 また、現在の日本は少子高齢化社会の進行、人口減少、地方の過疎化などの数多くの問題に直面しています。

九州大学での昨年の主な出来事として椎木講堂が完成し、初の入学式が挙行されました。 8月には本学出身の若田光一さんが日本人初の国際宇宙ステーション船長を務め、本学を訪問したことです。

11月には國武豊喜名誉教授が文化勲章を受章したこと、12月にはサイバーセキュリティセンター開所などがありました。

今年に入り、2月にはカーボンニュートラル国際研究所第2研究棟が完成しています。九州大学はエネルギー分野において世界の研究をリードしています。 3月には大学公用車として世界で初めて水素燃料電池自動車「MIRAI」(ミライ)が納車されました。 4月には九州大学医学歴史館が開館、5月にはシステム創薬リサーチセンター開所、などがありました。

九州大学では2011年の創立百周年を記念して、新たな百年に向けて、「九大百年、躍進百大」、すなわち、すべての分野において世界のトップ百大学に躍進する、というスローガンを掲げています。 この度、九州大学アクションプラン2015を作りました。6つの大きな項目を立てています。

  1. 世界最高水準の研究とイノベーション創出
  2. グローバル人材の育成
  3. 先端医療による地域と国際社会への貢献
  4. 学生・教職員が誇りに思う充実したキャンパス作り
  5. 組織改革
  6. 社会と共に発展する大学

それぞれの項目ごとに具体案とロードマップを示し、この実現にむけて実行していきます。 このような世界、日本、九大の状況のなかで皆さんは新しい道に踏み出すことになります。 我々大学人は、民族や宗教、文化や認識等の違いや多様性をお互いに認め合い、尊重し合い、研究や教育を始めとする様々な交流を推進し、維持することが重要です。 また、社会の未来に対する処方箋を示し、新しい価値観や文化の方向性を提案し、発信することが求められていると思います。 この意味でも皆さんのこれからの活躍に期待されるところが大きいと思います。

終わりにあたり、九州大学は、皆さんが卒業されても皆さんと共にあり、皆さんの活動を応援し、各種の同窓会等を通じて繋がりを大事にします。 皆さんが九州大学を卒業したことに誇りをもって、学んだことを生かし、夢を持って今後の未来を切り開いて、大きく飛躍し、グローバル社会を力強く牽引するリーダーとして大成されることを期待しまして告辞といたします。

平成27年9月25日
九州大学総長 久保千春