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平成29年度 秋季学位記授与式(2017年9月25日)

総長式辞・挨拶等

平成29年度 九州大学秋季学位記授与式告辞(2017年9月25日)

 本日は、学士43名、修士168名、専門職学位課程4名、博士182名、合計397名の皆さんが卒業・修了します。この内、留学生は255名です。皆さんの、これまでのたゆまぬ研鑽努力に対し深い敬意を表し、学位を取得されましたことを心からお祝い申し上げます。
 また、皆さんのこれまでの学習・研究を支えて下さったご家族、ご指導を頂いた先生方、学科・専攻・研究室等の関係者に対しても、心からのお祝いと御礼を申し上げます。

  さて、皆さんが在学していた間に、九州大学は大きく変わりました。これについてご紹介したいと思います。
 この伊都キャンパスは、2005年秋に工学系の第一陣が移転して開校して以来、12年が経過しました。伊都キャンパスの整備が着実に進んでいます。
 伊都キャンパス移転は第1ステージから、第2ステージを経て現在最終ステージであります。この秋には、約1万2000人の学生教職員がおり、2018年には約2万人の人がいるキャンパスになります。
 工学系、基幹教育院、理学系建物は完成しています。この秋には農学系、人文社会科学系が移転し、移転事業が完了する予定です。
 伊都キャンパスには、近年、多くの建物が建設されています。椎木講堂、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、伊都ゲストハウスなどです。
 その他に、共進化社会システムイノベーションセンターやカーボンニュートラル・エネルギー国際研究所第2研究棟、留学生と日本人が混住するドミトリーや伊都協奏館も完成しています。
 2015年10月に理学系総合研究棟が完成し、昨年は新中央図書館のプレオープンセレモニーを行いました。来年には、人文社会学系建物や農学系総合研究棟が完成します。
 その他の病院地区、大橋地区、筑紫地区キャンパスの整備もなされています。一方、箱崎地区は売却に向けて順次建物の解体が行われています。

 ところで皆さんが入学してから、国内外において、実に様々なことがありました。少し、振り返ってみたいと思います。
 国際的には、6年前の2011年にはニュージーランド地震、タイ洪水、2012年にはシリアの内戦泥沼化、2013年にはフィリピン台風被害、四川省大地震がありました。
 2014年には、エボラ出血熱の大流行、ISIL(イスラム国)の台頭、2015年には、ネパール大地震、米キューバの国交回復、2016年には、イギリスで欧州連合離脱の是非を問う国民投票が行われ、EU離脱支持票が過半数を超える結果となり、世界経済の先行き不安が広がりました。
 明るい話題としては、南米大陸で初となるリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが開催され、史上最多の206カ国・地域が参加しました。2017年には、世界各地で大災害やテロ事件が発生し、多くの尊い命が犠牲となっています。エマニュエル・マクロン氏は39歳でフランス大統領選に勝利し、フランス史上最年少で大統領に就任しました。北朝鮮による弾道ミサイルの試験発射が繰り返し行われるなど、日本を取り巻くアジア諸国においても政府間の対立や緊張が続いています。
 国内ニュースでは、何といっても、一番大きな出来事は、6年前の2011年3月11日に発生した東日本大震災でした。この地震とそれに伴って起こった津波によって1万6,000人近い貴い命が失われました。福島第一原子力発電所事故の終息にはまだまだ長い年月がかかります。
 2012年には安倍内閣が発足しています。
 2013年では2020年の東京オリンピック開催が決定しました。
 2014年から2016年にかけて6名もの日本人がノーベル賞を受賞しています。
 2016年4月に発生した熊本地震は、気象庁の震度階級で最も大きい震度7を2度も観測する大きな地震で、九州地方では初めてのものでした。ここにいる皆さんも、この地震で恐ろしい思いをしたことと思います。
 また、今年7月5日、6日に発生した九州北部豪雨災害では、河川の氾濫による洪水、大量の流木の流出による川の氾濫、土砂災害が数多く起こりました。これを受けて本学では、多様な分野から研究者や学生の叡智を結集して「九州北部豪雨災害調査・復旧・復興支援団」を結成し支援を続けています。改めまして、犠牲になられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災をされた皆さまには心よりお見舞い申し上げたいと思います。
 一方、「『神 宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産への登録決定は明るい話題となりました。
 九州大学の昨今の最も大きなニュースとしては、理学研究院の森田浩介教授の研究グループが「113番元素」を発見したことが認められ、2016年11月にニホニウム(Nh)と正式決定されました。また、中野 三敏名誉教授が文化勲章を受章されました。これらの栄誉は九州大学として大変光栄であります。
 2017年8月には、文部科学省より「共創学部」の設置が認められました。これは、歯学部の設置以来、51年ぶりの学部設置となります。

 九州大学では2011年の創立百周年を記念して、新たな百年に向けて、「九大百年、躍進百大」、すなわち、世界のトップ百大学に躍進する、というスローガンを掲げています。
 九州大学アクションプラン2015-2020を策定し、6つの大きな項目を立てています。
 1.世界最高水準の研究とイノベーション創出
 2.グローバル人材の育成
 3.先端医療による地域と国際社会への貢献
 4.学生・教職員が誇りに思う充実したキャンパス作り
 5.組織改革
 6.社会と共に発展する大学
 それぞれの項目ごとに具体案とロードマップを示し、この実現にむけて実行していきます。

  このような世界、日本、九大の状況のなかで皆さんは新しい道に踏み出すことになります。
我々大学人は、民族や宗教、文化や認識等の違いや多様性をお互いに認め合い、尊重し合い、研究や教育を始めとする様々な交流を推進し、維持することが重要です。
 また、社会の未来に対する処方箋を示し、新しい価値観や文化の方向性を提案し、発信することが求められていると思います。
 この意味でも皆さんのこれからの活躍に期待されるところが大きいと思います。
 皆さんは今後様々な困難に直面することと思います。困難なことに直面した時、自分を励ます言葉や考え方を持っていることは重要です。皆さんに3つの“C”の言葉を贈りたいと思います。挑戦Challenge、 変化Change、 創造Creationです。

 九州大学は、皆さんが卒業されても皆さんと共にあり、皆さんの活動を応援し、各種の同窓会等を通じて繋がりを大事にします。
 皆さんが九州大学を卒業したことに誇りをもって、学んだことを生かし、夢を持って今後の未来を切り開いて、大きく飛躍し、グローバル社会を力強く牽引するリーダーとして大成されることを期待しまして告辞といたします。

平成29年9月25日
九州大学総長 久保千春