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平成30年度 秋季学位記授与式(2018年9月25日)

総長式辞・挨拶等

平成30年度 九州大学秋季学位記授与式告辞(2018年9月25日)

 本日は、学士62名、修士174名、専門職学位課程2名、博士187名、合計425名の皆さんが卒業・修了します。この内、留学生は291名です。皆さんの、これまでのたゆまぬ研鑽努力に対し深い敬意を表し、学位を取得されましたことを心からお祝い申し上げます。
 また、皆さんのこれまでの学習・研究を支えて下さったご家族、ご指導を頂いた先生方、学科・専攻・研究室等の関係者に対しても、心からのお祝いと御礼を申し上げます。

 さて、皆さんが在学していた間に、九州大学は大きく変わりました。これについてご紹介したいと思います。
 この伊都キャンパスは、2005年秋に工学系の第一陣が移転して開校して以来、13年が経過しました。工学系、基幹教育院、理学系に続き、この秋には農学系、人文社会科学系が移転し、移転事業が完了し、約2万人の学生・教職員が集うキャンパスになります。
 その他の病院地区、大橋地区、筑紫地区キャンパスの整備もなされています。一方、箱崎地区は売却に向けて順次建物の解体が行われています。

 ところで皆さんが入学してから、国内外において、実に様々なことがありました。少し、振り返ってみたいと思います。
 国際的には、2015年には米キューバの国交回復、2016年にはイギリスで欧州連合離脱の是非を問う国民投票が行われ、EU離脱支持票が過半数を超える結果となり、世界経済の先行き不安が広がりました。2017年にはエマニュエル・マクロン氏が39歳でフランス大統領選に勝利し、フランス史上最年少で大統領に就任しました。北朝鮮による弾道ミサイルの試験発射が繰り返し行われました。2018年には平昌オリンピック・パラリンピックが開催され、史上最多の92カ国・地域が参加しました。また、11年ぶりに南北首脳会談が、その後、史上初の米朝首脳会談が開催され、アジアにおける国際情勢が大きく変化してきています。
 国内的には、2015年には明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録、2016年の熊本地震では、ここにいる皆さんも恐ろしい思いをしたことと思います。2017年の九州北部豪雨災害では、河川の氾濫による洪水、大量の流木の流出による川の氾濫、土砂災害が数多く起こりました。これを受けて本学では、多様な分野から研究者や学生の叡智を結集して「九州北部豪雨災害調査・復旧・復興支援団」を結成し支援を続けています。「『神 宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産への登録決定は明るい話題となりました。今年の日本は度重なる自然災害や異常気象に見舞われました。大阪府北部地震、北海道胆振東部地震、西日本を中心に全国的に広い範囲で発生した集中豪雨、その後は全国的に長引く猛暑となり、埼玉県熊谷市では日本歴代1位となる41.1℃を記録しました。
 伊都キャンパスへの移転が完了する2018年は九州大学において特別な年となります。本学では今年1年間を伊都キャンパス完成記念期間として、さまざまな催しを開催しています。7月に開催した「第20回比較法国際アカデミー国際会議」には、秋篠宮両殿下にご臨席いただき、75カ国から800名を超える法学者が参加しました。また、本日から28日までの間開催されますWSSF「第4回世界社会科学フォーラム」には、皇太子同妃両殿下にご臨席いただき、80カ国から900名を超える参加者を予定しています。これらはアジアで初めて開催される大規模な国際学会です。29日には「九州大学伊都キャンパス完成記念式典」を予定しています。

 九州大学では2011年の創立百周年を記念して、新たな百年に向けて、「九大百年、躍進百大」、すなわち、世界のトップ百大学に躍進する、というスローガンを掲げています。九州大学アクションプラン2015-2020を策定し、6つの大きな項目を立てています。それぞれの項目ごとに具体案とロードマップを示し、この実現に向けて実行していきます。

 このような世界、日本、九大の状況のなかで皆さんは新しい道に踏み出すことになります。 
我々大学人は、民族や宗教、文化や認識等の違いや多様性をお互いに認め合い、尊重し合い、研究や教育を始めとする様々な交流を推進し、維持することが重要です。また、社会の未来に対する処方箋を示し、新しい価値観や文化の方向性を提案し、発信することが求められていると思います。この意味でも皆さんのこれからの活躍に期待されるところが大きいと思います。

 皆さんは今後様々な困難に直面することと思います。困難なことに直面した時、自分を励ます言葉や考え方を持っていることは重要です。皆さんに3つの“C”の言葉を贈りたいと思います。挑戦Challenge、 変化Change、 創造Creationです。

 九州大学は、皆さんが卒業されても皆さんと共にあり、皆さんの活動を応援し、各種の同窓会等を通じて繋がりを大事にします。
 皆さんが九州大学を卒業したことに誇りをもって、学んだことを生かし、夢を持って今後の未来を切り開いて、大きく飛躍し、グローバル社会を力強く牽引するリーダーとして大成されることを期待しまして告辞といたします。

平成30年9月25日
九州大学総長 久保千春