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令和元年度 秋季学位記授与式(2019年9月25日)

総長式辞・挨拶等

令和元年度 九州大学秋季学位記授与式告辞(2019年9月25日)

 本日は、学士61名、修士160名、博士211名、合計432名の皆さんが卒業・修了します。この内、留学生は265名です。皆さんの、これまでのたゆまぬ研鑽努力に対し深い敬意を表し、学位を取得されましたことを心からお祝い申し上げます。
 また、皆さんのこれまでの学習・研究を支えて下さったご家族、ご指導を頂いた先生方、学科・専攻・研究室等の関係者に対しても、心からのお祝いと御礼を申し上げます。

 さて、皆さんが在学していた間に、九州大学は大きく変わりました。これについてご紹介したいと思います。
 この伊都キャンパスへの移転事業は昨年9月に完了しました。2005年秋に工学系の第一陣が移転して開校して以来、13年かかりました。現在、約2万人の学生・教職員がここで勉強し、働いています。
 昨年9月29日に伊都キャンパス完成記念式典を挙行し、今後、伊都キャンパスを拠点として新たな時代を歩み始めるに際して、これまでの感謝と将来への決意を込めた「伊都キャンパス宣言」を公表しました。
 1. 世界をリードする人材と新しい科学を生み出すキャンパス
 2. 未来社会を切り拓く研究成果の実証実験の場としてのキャンパス
 3. 歴史や自然など豊かな環境と共生するキャンパス

 九州大学は、このキャンパスを核として、教育、研究、社会貢献、国際交流などのさまざまな活動を強力に推進していきます。「令和」と呼ばれる新しい時代が始まりました。この歴史の転換点に生きることは刺激的なことです。 一緒に新しい九州大学の歴史を築いていきましょう。

 その他の病院地区、大橋地区、筑紫地区キャンパスの整備もなされています。一方、箱崎地区は売却に向けて建物の解体が着実に行われています。

 ところで皆さんが入学してから、国内外において、実に様々なことがありました。少し、振り返ってみたいと思います。
 国際的には、2016年にはイギリスで欧州連合離脱の是非を問う国民投票が行われ、EU離脱支持票が過半数を超える結果となり、世界経済の先行き不安が広がりました。2017年にはエマニュエル・マクロン氏が39歳でフランス大統領選に勝利し、フランス史上最年少で大統領に就任しました。北朝鮮による弾道ミサイルの試験発射が繰り返し行われ、国際的な緊張が高まっています。2018年にはシンガポールで米朝首脳会談が開催されました。2019年、パリのノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生しました。香港では、中国本土への犯罪容疑者引き渡しを可能とする条例改正をめぐって大規模な抗議が行われました。トランプ米大統領は、韓国と北朝鮮の軍事境界線である板門店を訪問しました。トランプ氏は米国大統領として初めて北朝鮮に約1分間足を踏み入れました。ボリス・ジョンソン氏が英国首相に任命されました。ジョンソン氏は、欧州連合離脱に際し英国を率いることになります。

 国内的には、2016年に熊本地震が発生しました。気象庁震度階級で最も大きい震度7を観測する地震が2回九州を襲いました。ここにいる皆さんも恐ろしい思いをしたことと思います。2017年7月5日と6日に九州北部で集中豪雨が発生しました。この災害は、九州北部、特に福岡県朝倉市に大きな被害をもたらしました。本学では、多様な分野から研究者や学生の叡智を結集して「九州北部豪雨災害調査・復旧・復興支援団」を結成し被災地への効果的な支援を行いました。この復興支援のボランティア活動に参加した多くの本学学生に心から感謝の意を表したいと思います。「『神 宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産への登録決定は明るい話題となりました。2018年、日本は度重なる自然災害や異常気象に見舞われました。大阪府北部地震、北海道胆振東部地震、西日本集中豪雨が発生しました。2019年、5月1日に「令和」という新しい時代が始まりました。6月28日に「G20大阪サミット」が開催され、世界の指導者が世界経済、イノベーション、気候変動などのテーマについて議論を始めました。7月6日に大阪の「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録されました。

 今年は、全国七大学総合体育大会が九州大学を主管校として福岡で開催されました。本学は優勝を逃し4位でした。 10月19日にアカデミックフェスティバルと農学部創立100周年記念事業を開催します。

 九州大学は2011年の創立100周年を機に、新たな100年に向けてすべての分野において世界のトップ100大学に躍進する「躍進百大」というスローガンを掲げました。この基本理念を実現するため、次の6つの骨子から成る「九州大学アクションプラン2015-2016」を策定し取り組みを進めています。
 1. 世界最高水準の研究とイノベーション創出
 2. グローバル人材の育成
 3. 先端医療による地域と国際社会への貢献
 4. 学生・教職員が誇りに思う充実したキャンパスづくり
 5. 組織改革
 6. 社会と共に発展する大学

 重点取組及び各タスクのロードマップも策定しています。皆さんが在学している間に、これらの計画は着実に進歩しました。皆さんの多大な努力は、目標達成のために非常に大きな進歩を遂げた主な要因の1つです。

 このような世界、日本、九大の状況のなかで皆さんは新しい道に踏み出すことになります。
我々大学人は、民族や宗教、文化や認識等の違いや多様性をお互いに認め合い、尊重し合い、研究や教育を始めとする様々な交流を推進し、維持することが重要です。また、社会の未来に対する処方箋を示し、新しい価値観や文化の方向性を提案し、発信することが求められていると思います。この意味でも皆さんのこれからの活躍に期待されるところが大きいと思います。

 皆さんは今後様々な困難に直面することと思います。困難なことに直面した時、自分を励ます言葉や考え方を持っていることは重要です。皆さんに3つの“C”の言葉を贈りたいと思います。挑戦Challenge、 変化Change、 創造Creationです。

 九州大学は、皆さんが卒業されても皆さんと共にあり、皆さんの活動を応援し、各種の同窓会等を通じて繋がりを大事にします。
 皆さんが九州大学を卒業したことに誇りをもって、学んだことを生かし、夢を持って今後の未来を切り開いて、大きく飛躍し、グローバル社会を力強く牽引するリーダーとして大成されることを期待しまして告辞といたします。

令和元年9月25日
九州大学総長 久保千春