About 九州大学について

令和年度 秋季入学式・外国人短期留学プログラム開講式(2019年10月1日)

2019年度秋季入学式・外国人短期留学プログラム開講式

 2019年度秋季入学式に際し、ご挨拶を申し上げます。 

 本日の入学式には、学士課程37名、大学院学生302名、JTWとJLCCの短期コースの学生60、計399名が、50カ国・地域から参加しています。全ての新入生の皆さんを心から歓迎します。また、本日は在福岡アメリカ合衆国領事館のユキ・近藤・シャー 様、中華人民共和国駐福岡総領事館の張 映川 様、在福岡ベトナム社会主義共和国総領事館のウー・ビン 様、グエン・バン・ロイ 様、台北駐福岡経済文化弁事処の陳 忠正 様にご来賓としてお越しいただいています。九州大学を代表して厚く御礼申し上げます。
 
 さて、皆さんがこれから過ごす九州大学はどのようなところか、ご紹介したいと思います。

 九州大学は、九州地方最大の人口159万人を有する住み心地のよい沿岸都市、福岡に位置しています。また、地図を見てわかるように福岡はアジアに近く、その地理のおかげで、古代よりアジアの玄関口として繁栄してきました。
 
 1903年(明治36年)に京都帝国大学福岡医科大学が設置されました。その8年後の1911年(明治44年)に工科大学が設置され、九州帝国大学となり、総合大学としてスタートしました。以来、学部等の増設、九州芸術工科大学との統合、大学法人化などを経て現在に至っています。
 
 九州大学は現在、12の学部、18の大学院学府、4つの専門職大学院、基幹教育院、5つの研究所及び最先端の医療を提供する国内最大級の大学病院、420万冊余りの蔵書を誇る附属図書館などを擁する我が国屈指の基幹総合大学として発展を続けています。
 
 学生数は、2,387名の留学生を含めて18,619名、教職員数は7,985名、合計26,604名の大きな組織です。そして今日、399名の新入生が九州大学に加わりました。土地面積は、5つのキャンパス(伊都キャンパス、病院キャンパス、筑紫キャンパス、大橋キャンパスそして箱崎キャンパス)、附属農場、演習林などを合わせて合計76km2であり、日本で3番目に広い敷地を持つ大学です。

 出身地域別学生の割合を示します。地理的条件に加え、長きにわたり交流を積み重ねてきたことで、アジア地域からの留学生が87%を占めます。九州大学の学生は102の国や地域から集まっています。次に、本学に在籍する学生数を国別地域別に示しています。中国からの留学生が半数を占め、韓国、インドネシア、ベトナムと続きます。毎年、世界中から大勢の留学生が集まり勉学に勤しむことを大変うれしく思います。

 この伊都キャンパスは豊かな自然環境に恵まれた丘陵地であります。東西3km,南北2.5kmの広大な敷地で、伊都の国としての歴史ある場所です。造成にあたっては自然環境に配慮し、生物多様性の保全に努め、古墳などの貴重な文化財の保存に可能な限りの工夫と努力がされてきています。

 この伊都キャンパスへの移転事業は昨年9月に完了しました。2005年秋に工学系の第一陣が移転して開校して以来、13年かかりました。現在、約2万人の学生・教職員がここで勉強し、働いています。
 
 昨年9月29日に伊都キャンパス完成記念式典を挙行し、今後、伊都キャンパスを拠点として新たな時代を歩み始めるに際して、これまでの感謝と将来への決意を込めた「伊都キャンパス宣言」を公表しました。
1. 世界をリードする人材と新しい科学を生み出すキャンパス
2. 未来社会を切り拓く研究成果の実証実験の場としてのキャンパス
3. 歴史や自然など豊かな環境と共生するキャンパス

 九州大学は、このキャンパスを核として、教育、研究、社会貢献、国際交流などのさまざまな活動を強力に推進していきます。「令和」と呼ばれる新しい時代が始まりました。この歴史の転換点に生きることは刺激的なことです。 一緒に新しい九州大学の歴史を築いていきましょう。
 
 その他の病院地区、大橋地区、筑紫地区キャンパスの整備もなされています。一方、箱崎地区は売却に向けて建物の解体が着実に行われています。
 
 さて、本日の入学式に際し、私が皆さんに最も伝えたいことは、留学中に積極的に日本語を学び日本文化に触れて欲しい、ということです。JTWとJLCCの学生については日本語や日本文化についての授業や実習、見学等もカリキュラムに組み込んでいます。国際コースの学部生や大学院の学生諸君にとっても、この九州大学への留学期間は、自分たちの専攻分野の学習や研究に加えて、日本語と日本文化について深く学ぶ格好の機会でもあります。

 大学院の学生は、専門教育や研究に邁進するとともに、幅広い知識を修得して下さい。また、日本人学生や地域住民との交流を通じて、素晴らしい日本文化に出会うこともあると思います。そして、九州大学で学んだことを誇りに思いながら、グローバル社会を牽引する国際的なリーダーとして大成されることを期待します。
 
 JTWとJLCCの学生については、今回の短期留学は九州大学での勉強の始まりと考えていただければと思います。プログラムが終了して、今度は正規の学生として再び九州大学に戻ってこられることを楽しみにしています。

 留学生にとって、言葉や文化、習慣、経済情況の異なる日本での生活は、容易ではないことと思いますが、九州大学には、留学生を支援するために、各学部・学府はもちろん、留学生センターや外国人留学生・研究者サポートセンター、キャンパスライフ・健康支援センターなど、留学生の様々な相談に対応できる組織が各キャンパスにありますので、気軽に相談してください。

 結びに、この九州大学において、皆さんがこれから有意義な留学生生活を送り、留学の目的を達成されることを心から願って、新入生を迎える挨拶とします。 

令和元年10月1日
九州大学総長 久保千春