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箱崎キャンパス閉校式総長挨拶

総長式辞・挨拶等

箱崎キャンパス閉校式総長挨拶

平成31年2月8日
 

 九州大学箱崎キャンパス閉校式にあたりまして、九州大学を代表してご挨拶申し上げます。

 本日は、ご多用中にもかかわらず、梶山元総長、有川前総長をはじめとする元役員の方々や全国各地の同窓会の皆様、地元箱崎の地域住民の方々など、多数の皆様のご出席を賜り、誠にありがとうございます。これまで箱崎キャンパスの発展に多大なご支援を賜りました関係者の方々に厚く御礼申し上げます。

 明治44年(1911年)、箱崎の地に九州帝国大学が創設されて以来、社会の発展に貢献する様々な人材や教育研究成果を生み出してきた箱崎キャンパスは、昨年秋の伊都キャンパスへの移転完了により、その長い歴史に幕を降ろすこととなりました。
 この箱崎キャンパスには、私達は多くの思い出が詰まっており、幕を降ろすことには惜別の念があります。

 九州大学の歴史を振り返ってみますと、1903(明治36)年、馬出に京都帝国大学福岡医科大学が設置されています。8年後の1911年(明治44年)、福岡県、福岡市等の熱心な誘致活動や、古河財閥からのご寄附により、ここ箱崎の地に新たな工科大学が設置され、福岡医科大学と合併する形で九州帝国大学が創設されました。

 その後、1919年(大正8年)には県や地元新聞等による誘致運動が行われ、日本で3番目の農学部が設置されました。これは、九大が創立当初から朝鮮、樺太、台湾に広大な大学演習林を所有していたことも設置された大きな理由の一つです。
 1924年(大正13年)には法文学部が設置されました。法文学部は旧制高等学校の文科生や、中国、朝鮮、台湾等からの「留学生」が受入れられました。
 1939年(昭和14年)には、地元財界の麻生太賀吉様などからの寄付も受け、理学部が設置され、名実ともに基幹総合大学となりました。

 以来、ここ箱崎キャンパスでは、伊都キャンパス移転完了までの107年の間に、学部・修士・博士の学位取得者 約16万7千人の学生を輩出するともに、社会の発展に貢献するさまざまな教育研究成果を生み出してまいりました。

 この歴史ある箱崎キャンパスを閉校することは感慨深いものがあります。今後、九州大学は「躍進百大」のスローガンのもと「常に未来の課題に挑戦する大学」として、世界最高水準の教育・研究と診療活動を展開し、アジアの玄関口として多くの留学生を引き寄せ、また、我が国有数の基幹総合大学として発展してまいります。
 箱崎キャンパスはその役目に区切りを付けますが、その精神は伊都キャンパスへと引き継がれております。

 箱崎キャンパスの跡地活用につきましては、現在、福岡市や地域住民の方々のご意見を聴きながら検討が進められています。
 九大創設にあたり、地域住民の方々から惜しみないご協力をいただいております。この時の感謝と100年余りの歴史を大事にし、地域の発展に貢献した先人達の思いを受け継ぎ、次の世代に繋いでいけるような街づくりにつながることを願っております。大学本部、正門、旧工学部本館の近代建築物は保存されることになっております。

 結びにあたり、今後とも九州大学へのご理解とご支援をお願い申し上げますとともに、皆様方のますますのご健勝を祈念し、私の挨拶とさせていただきます。

 本日は、ご出席を賜り、誠にありがとうございました。 

平成31年2月8日
九州大学総長
 久 保 千 春