Research 研究・産学官民連携
芸術工学研究院 メディアデザイン部門
准教授 何昕霓
触覚は、ものを認識したり、人と交流したりするために不可欠な感覚です。私たちは触覚を通じて、物理的な世界を探り、感情を伝え、社会的な関係を強化することができます。しかし、直接的な身体接触が可能でない場面も少なくありません。離れた場所や健康上の制約、そして社会的な孤立などにより、触覚のアクセスが制限されることがあります。そこで、触覚をデジタルで再現し、届けることができるデジタルタッチ技術が、その問題を解決する手段として注目を集めています。この技術は、モバイルデバイスやウェアラブル技術、そしてVRのようなアプリケーションで、デジタル交流をより豊かにする可能性を秘めています。
デジタルタッチは、離れていても人を結びつける
Ho Haptics Labでは、人間の感覚情報処理の複雑さを解明し、特に触覚に焦点を当てた研究を行っています。私たちの目的は、人間が触覚を通じてどのように周囲を理解し、意思決定を行い、その結果を他者に伝えるのかを理解することにあります。この知識をもとに、デジタル環境でも対人間、対モノとの触れ合いを再現し、その価値を最大化するデザインを追求しています。
私たちの研究は、人間が触覚を使って周囲の世界を認識し、他者と交流する方法を探ることを目的としています。たとえば、温度や圧力、質感などの情報がどのように認識され、理解されるのかを解明し、触覚と認知の結びつきを深く学ぶことが目標です。また、触覚を視覚や聴覚などの他の感覚と統合することで、ユーザー体験をより深いものにする方法も研究しています。こうした理解に基づき、触覚インターフェースのデザインを探求し、遠隔地でも触覚を共有できる技術を実現しています。想像してみてください。親がウェアラブルデバイスを通じて子どもの温もりを感じたり、オンラインショッピングで商品の質感を確認して選べたりできるような未来を目指しています。
Ho Haptics Labで行った触覚共有に関する研究
私たちの研究は、遠隔コミュニケーションやエンターテインメントといった分野に大きな影響を与えます。遠隔コミュニケーションにおいては、触覚が人と人とのコミュニケーションを強化し、共在感を高めるのに役立ちます。また、バーチャルリアリティでは、触覚を通じてユーザーがさまざまな触感を体験し、対象物の質感を解釈するのに役立ちます。こうした進歩により、物理的な距離を超えて人間関係を豊かにし、デジタル世界の可能性をさらに広げることができます。
Ho Haptics Labは、デジタル触覚が技術と人との交流を革新する力を持っていると信じています。最新の研究とイノベーションを通じて、触覚が距離を埋め、人と人をより近づける未来を探求しています。
■お問合せ先
芸術工学研究院 メディアデザイン部門
准教授 何昕霓
研究室website: https://sites.google.com/view/hohapticslab/