Research Results 研究成果
ポイント
概要
天然型糖鎖・複合糖質の構造をわずかに改変したアナログ分⼦(擬糖鎖・擬複合糖質)の開発は、創薬研究において極めて重要ですが、合成の煩雑さなどの理由から、限られた検討にとどまっていました。
九州⼤学⼤学院薬学研究院の平井剛教授を中⼼とする研究グループ(摂南⼤学農学部 加藤直樹准教授、医薬基盤・健康・栄養研究所 國澤純センター⻑ら、⼤阪⼤学微⽣物病研究所 ⼭﨑晶教授ら、理化学研究所環境資源科学研究センター 越野広雪ユニットリーダー ⾼橋俊⼆ユニットリーダー、九州⼤学先導物質化学研究所 友岡克彦教授ら)は、糖加⽔分解酵素により分解されないC-グリコシド型複合糖質の新規多様化戦略を考案し、光エネルギーと触媒反応を駆使して効率的な分岐合成法を開発しました。本⼿法では3 種の連結部位(CH₂, (R)-CHF, (S)-CHF 型)を持つC-グリコシドアナログの分岐合成が可能になり、実際に擬イソマルトースおよび擬α-ガラクトシルセラミドの合成に成功しました。さらに合成したCH2-イソマルトースは天然型と⽐較して極めて⾼いアミラーゼ誘導活性を⽰し、(R)-CHF-α-ガラクトシルセラミドは天然型とは真逆のインバリアントナチュラルキラーT (iNKT)細胞のアンタゴニスト様活性を⽰すことを明らかにしました。
本研究成果は、アメリカ化学会が出版する国際誌「Journal of American Chemical Society」のオンライン版にて2024 年1 ⽉9 ⽇(現地時間)に掲載されました。
論文情報
掲載誌:Journal of American Chemical Society
タイトル:Linkage-Editing pseudo-Glycans: A Reductive α-Fluorovinyl-C-Glycosylation Strategy to Create Glycan Analogs with Altered Biological Activities
著者名:Takahiro Moriyama, Makoto Yoritate, Naoki Kato, Azusa Saika, Wakana Kusuhara, Shunsuke Ono, Takahiro Nagatake, Hiroyuki Koshino, Noriaki Kiya, Natsuho Moritsuka, Riko Tanabe, Yu Hidaka,Kazuteru Usui, Suzuka Chiba, Noyuri Kudo, Rintaro Nakahashi, Kazunobu Igawa, Hiroaki Matoba,Katsuhiko Tomooka, Eri Ishikawa, Shunji Takahashi, Jun Kunisawa, Sho Yamasaki, and Go Hirai
D O I:10.1021/jacs.3c12581
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