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Research Results 研究成果
黄砂やPM2.5などに代表される大気中を浮遊する粒子状物質(エアロゾル)は、地球の放射収支や雲降水過程に作用して気候変動や天候に大きな影響を及ぼす他、呼吸器系疾患など健康へのリスクが議論されています。エアロゾルの気候・健康影響を精度よく評価するためにはエアロゾルの時空間変動を正確に再現することが不可欠です。しかしながら、エアロゾルの発生源は多岐にわたること、濃度分布の変動が大きいことなどからエアロゾル分布の再現は困難でした。
気象庁気象研究所と九州大学の研究グループ(代表者:弓本桂也,九州大学応用力学研究所准教授)は、同研究所で開発している全球エアロゾル輸送モデル(MASINGAR)に、新たにデータ同化技を導入し、衛星観測から得られたデータを組み込むことで、高精度で欠損のない過去5年分の全球エアロゾル再解析データセットの作成に成功しました。また、地上の観測データと比べることで、作成したデータセットが、従来のモデルのみを使った研究に比べ、エアロゾルの時空間変動の再現性が大幅に向上していることを確認しました。
本研究で作成されたデータセットには、黄砂やPM2.5等の地上付近重量濃度、エアロゾルの光学的厚さ、地上・海上への沈着量分布などが含まれており、webページを通じて研究コミュニティーに広く公開する予定です。気候・天候影響への定量的な評価、疫学研究を通じた健康影響調査、海洋生物循環に代表される生態影響の評価など、エアロゾルに関する様々な研究に広く活用され、各分野の問題点の解決と精度向上をもたらすことが期待されます。また、本研究で開発したデータ同化技術は、気象庁が行う黄砂予測にも適用される予定です。視程の悪化による交通機関への影響や、洗濯物や車の汚れなど、日々の生活に影響を与える黄砂の予測精度向上が期待されます。
本成果は、欧州地球科学連合の専門誌「Geoscientific Model Development」に2017年9月4日21時(日本時間)に掲載され、欧州地球科学連合のHighlighted articleに選出されました。
参考図:2013年12月26日18時(世界標準時)のエアロゾル光学的厚さ注7)(全球、左図)と2014年1月31日0時(世界標準時)の地上付近のPM2.5重量濃度分布(東アジア拡大,右図)の例。開発した全球エアロゾル再解析データセットでは、エアロゾルの時空間分布を6時間間隔で入手することができる。