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Research Results 研究成果

軽度認知機能障害の新たな早期診断バイオマーカーの発見!

2016.05.25
研究成果Life & Health

 九州大学大学院医学研究院の山﨑貴男学術研究員と飛松省三教授らは、誘発脳波を用いて、認知症の予備群である軽度認知機能障害 (MCI)患者では、放射状方向の運動刺激 (オプティック・フロー (OF))に対する脳反応が特異的に低下していることを報告していましたが (Journal of Alzheimer’s Disease, 2012年)、今回、その研究をさらに発展させ、新たな患者群でOF刺激は高い特異度、高い感度をもって、MCI患者と健常老年者を区別できることを発見しました。日本では超高齢化の進展に伴い、2025年には高齢者の約5人に1人は認知症になると推定されており、MCIの早期診断・介入が喫緊の課題です。早期診断バイオマーカーとして、脳脊髄液検査やアルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドが脳にたまっているかを検査するアミロイドイメージングが報告されていますが、侵襲性やコストの問題が指摘されており、理想的なバイオマーカーは未だ確立されていません。今回の研究成果から、誘発脳波検査は身体に害を及ぼさない上、安価かつ信頼性のあるMCIの早期診断バイオマーカーとなることが期待されます。また認知症患者の迷子、危険運転が社会問題となっていますが、これらはOF知覚の障害と関連があることから、本手法は迷子や危険運転の起こしやすさの判定にも利用できると期待されます。
 本成果は、九大病院物忘れ外来との共同研究であり、平成28年5月23日(月)にアルツハイマー病専門誌「Journal of Alzheimer’s Disease」電子版で掲載されました。

a)ヒトが直進方向に移動すると、外界の放射状の動きが生じ、これをOFという。自己運動の知覚に関与し、後部頭頂葉で処理される。アルツハイマー病やMCI患者では後部頭頂葉が障害されやすいために、OF知覚が障害され、迷子や危険運転の原因となる。

b)本研究で使用したOF刺激。多数のランダムドットを中心から外に向けて放射状に動かすことで、簡単にOF刺激を作成することが出来る。

研究者からひとこと

シンプルで、コストパフォーマンスの高い早期診断バイオマーカーを発見することができた点で、非常に意義のある研究であると思っています。将来的には、MCIよりもさらに早い段階 (臨床症状が出る前の時期)で、認知症予備群を発見できるようなシステムを構築し、先制医療に貢献していきたいと思っています。

研究に関するお問い合わせ先

医学研究院 教授 飛松 省三
医学研究院 特任助教 山﨑 貴男