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リアムコンパクト数値モデルとドローン空撮測量を連携した新しい数値風況診断技術の開発に成功 -風力発電所における地形起因の大気乱流を解明・風車の事故を未然に防ぐ-

2017.12.01
研究成果Physics & ChemistryTechnology

 九州大学応用力学研究所の内田孝紀准教授は、西日本技術開発株式会社および株式会社環境GIS研究の協力の下、株式会社九電工と共同研究を実施し、内田准教授が開発している「数値風況診断技術RIAM-COMPACT(リアムコンパクト)」と「ドローン空撮測量」を連携した新しい数値風況診断技術を開発することに成功しました。
 本研究で対象となった愛知県田原市の渥美風力発電所には、出力2MWの大型風車(V80-2MW)が4基設置されています。渥美風力発電所では、東南東の風が発生した際、その影響により風車の主要部品の故障が多発し、その主な原因が地形起因の大気乱流の発生によることが示唆されました。本研究では、その原因を詳細に調査するため、ドローンによる空撮測量を行い、現地の地形起伏や地形表面を覆う樹木の高さや空間分布を空間解像度1mでコンピュータ内に忠実に再現することに成功しました。特に、これまで被害の大きかった2号機をターゲット風車にし、詳細に調査・研究を行った結果、風車周辺に発生している地形起因の大気乱流の存在を視覚的に明らかにしました。
 今後は、一連の数値風況診断の結果を用いてさらに詳細な考察を行い、風車の「重大事故」を未然に防ぐための風車制御方法の確立を目指します。我々が「産学連携」で一丸となって取り組む今回の共同研究は、陸上および洋上の大規模風力発電の適切な普及・拡大に大きく貢献することが期待されます。

図1 本研究で対象にした愛知県田原市の渥美風力発電所
ベスタス社の2MWの風車(V80-2MW)が4基設置されています。

図2 風車のスケール(現地写真)

図3 2号機風車の風向センサー・風速センサーの分析結果、風配図、2016.4~2017.3

研究者からひとこと

 本研究で対象とした出力が数MW以上の大型風車と同様、固定価格買取制度の適用を目的とした出力20kW未満の小型風車においても、日本海事協会(ClassNK)による「型式認証(性能・安全性に関する要求事項への適合性評価)」が実施され、それに合格した機種が販売されています。
 しかしながら、小型風車の場合は、十分な風況調査を実施しないまま設置されるケースが非常に多く、風車設置後の風車トラブル(事故・故障・予想発電量が出ない等)が多数報告されています。地面から風車中心までの高度が低く、地形起因の大気乱流の影響を強く受けやすい小型風車も大型と同様、風車設置前の精緻な数値風況診断が必要不可欠です。

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