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研究成果

公開日:2018.08.23

「良い香りだけど嫌い」or「悪い臭いだけど好き」の効果が判明
~情動と嗅覚認知の解明に寄与、魅惑的な香りの開発応用にも~

研究成果 理学

 匂いを感じた時、ヒトは「快・不快」、「好き・嫌い」という情動的な反応を示します。匂いに対する情動的な反応は、遺伝的な要因によって先天的に決定されるケースもあれば、経験や学習によって後天的に調節・決定されるケースもあることが知られています。九州大学基幹教育院の岡本剛准教授とシステム生命科学府一貫制博士5年濱川昌之大学院生は、これまで調査が行われていなかった先天的・後天的な情動反応が一致しない匂いに着目し、「良い香りだけど嫌い」もしくは「悪い臭いだけど好き」の知覚特性を調べました。
 匂いに対する情動反応を評価する軸として、「快・不快」を直感的・本能的な情動反応、「好き・嫌い」を経験的・獲得的な情動反応を評価する軸として設定し、36種類の匂い物質に対して嗅覚認知実験を行いました。実験の結果、「快・不快」と「好き・嫌い」が一致した匂いでは、匂いの強度が強まるほど匂いの言語表現(フルーツの香り、アーモンド臭など)が一意に定まる傾向が見られました。その一方で、「快・不快」と「好き・嫌い」の評価が一致しない匂いでは、強度に関わらず匂いの言語表現が定まらない傾向が見られました。
 匂いの感覚情報は、情動に関する偏桃体や記憶に関する海馬でも処理されていることがわかっていますが、その詳細な仕組みは未だ不明なままです。本研究の結果は、本能的な「快・不快」と経験的な「好き・嫌い」の一致・不一致が匂いの言語化に影響することを示唆しており、脳内における匂いの情報処理や言語化のメカニズム解明に役立つことが期待されます。また、本研究で特定した情動不一致の匂い物質を使えば、魅惑的な香りの開発が可能になるかもしれません。
 本研究は、小林国際奨学財団と九州大学QRプログラムの支援を受けました。
 本研究成果は、英国Wiley Online Libraryの科学誌Flavour and Fragrance Journalにオンライン掲載されました。

(モデル図)嗅覚認知実験の結果、情動評価の不一致は匂いの言語化に影響することが示唆された。「快・不快」と「好き・嫌い」が一致した匂いでは、強度が強まると匂いの言語表現は一意に定まるが、情動評価が不一致な匂いは言語表現が定まらない傾向が見られた。

研究者からひとこと

 匂いが快・不快といった情動を強く引き起こすことは、経験的にも良く知られていると思います。匂いが引き起こす情動の変化を調べることで、ヒトの複雑な感情の解明にもつながるかもしれません。

論文情報

The effect of different emotional states on olfactory perception: A preliminary study ,Flavour and Fragrance Journal,
10.1002/ffj.3469

研究に関するお問い合わせ先

岡本剛 基幹教育院 准教授 
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