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脳内感染した歯周病菌に対するミクログリアの防御反応の日内変動を解明! 〜脳炎症が起こると不都合な時間帯には反応を規制する仕組みを発見〜

2016.07.22
研究成果Life & HealthPhysics & Chemistry

 九州大学大学院歯学研究院の高山 扶美子博士課程4年(日本学術振興会 特別研究員)、武 洲准教授、中西 博教授らの研究グループは、脳内で免疫防御を担うミクログリア(※1)による、脳内感染した歯周病菌に対する防御反応の分子メカニズムを明らかにしました。
近年、ジンジバリス菌(※2)がアルツハイマー病患者の脳内に検出され、歯周病重症度と認知症重症度が比例することも報告されました。このためジンジバリス菌が脳炎症を引き起こし認知症の悪化を招くと考えられますが、ミクログリアがジンジバリス菌に反応し脳炎症を引き起こすメカニズムは不明でした。研究グループは、ミクログリアに蛍光タンパク質GFPを発現する遺伝子改変マウスを用いた蛍光生体イメージング(※3)により、脳内感染したジンジバリス菌に向けてミクログリアがヌクレオチドの一種UDPに対するP2Y6受容体(※4)を介して突起を伸ばし取り囲むことを突き止めました。興味深いことに、ミクログリアの反応は夜間(マウスの活動期)では昼間(非活動期)と比べて低下していました。ミクログリア反応性の日内変動は、分子時計によるP2Y6受容体発現量の日内変動(体内時計下での体内活動の変動)に連動しています。
 ミクログリアはジンジバリス菌を貪食し、その活性化が脳炎症を引き起こします。このため、P2Y6受容体発現量の日内変動が、脳炎症が起こると不都合な時間帯(ニューロン活動の活発な活動期)にミクログリアがジンジバリス菌を食べることを規制するゲート機構になっていると考えられます。今後、アルツハイマー病モデルマウスにおけるミクログリア分子時計の変容が、歯周病菌に対するミクログリアの過剰な炎症反応を引き起こす可能性について解析を進めます。
本研究成果は、2016年7月 21日(木)午前10時(英国時間)に英国科学誌『Scientific Reports』にオンライン掲載されました。

<用語解説>
(※1)ミクログリア:脳脊髄に存在し免疫機能を担うグリア細胞の一種
(※2)ポルフィロモナス・シンジバリス(Porphyromonas gingivalis):グラム陰性嫌気性細菌で、歯周病の代表的な原因細菌
(※3)蛍光生体イメージング:個体を生かした状態で内部を観察し、生きた細胞・分子の動態をリアルタイムで解析する新しい研究手法
(※4)P2Y6受容体:ATP受容体の一種で細胞外ヌクレオチドUDPに対する特的受容体

本研究によって示唆されたP2Y6受容体発現の日内変動に基づく歯周病菌感染に対するミクログリアの突起伸展反応の日内変動

研究者からひとこと

今回の研究はミクログリアのナイトライフの生態を暴くことを目的にしており、予備実験では誰もいない真夜中、限られた時間内に様々な条件でのデータを取り終えなければならず、大変な思いをしました(本実験からは明暗を逆転させたシフトボックスを使用)。最終的に、分子時計がミクログリアの感染菌に対する反応性を制御していることを明らかにすることができました。今後、感染菌に対するミクログリア反応性の日内変動の破綻が、アルツハイマー病態に及ぼす影響についてさらに研究を進めていきたいと考えています。

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