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青森県から絶滅が危惧される新種の甲虫 『ヒョウタンホソヒラタムシ』を発見!~湿地生態系のしくみを知るうえで重要なパズルピースになるかも?~

2019.06.03
研究成果Life & HealthEnvironment & Sustainability

 愛媛大学農学部の 吉田貴大 学振特別研究員(元九州大学農学研究院学術研究員)、イギリス・バークシャー州のD. G. H. Halstead博士、九州大学農学部の広渡俊哉博士の研究グループは、青森県から見つかったホソヒラタムシ科の甲虫が新種であることを突き止め、さらに、この新種は絶滅危惧種の可能性が高いことを明らかとしました。
 この新種は、1992年に青森県つがる市のコケヤチ湿原で採取された4個体と採集情報のない1個体をもとに研究されており、今回、同研究グループにより、日本で未発見であったAiraphilus属の一種であることが分かりました。さらに、海外の種と比較した結果、この甲虫が新種であると判明しました。体のくびれが強いという特徴からヒョウタンホソヒラタムシAiraphilus abeiと命名しました。種小名のabeiは採集者の阿部東博士に由来します。この新種の生態はほとんど不明ですが、湿原の植物から発見されたことや、ヨーロッパの近縁種が湿原の植物に依存することから、湿原環境に依存した生態を持つ可能性があります。しかし、この新種が発見された周辺の湿原は乾燥化が進み、発見地のコケヤチ湿原はすでにほぼ草原に変貌しています。また、この新種は後翅が退化して飛翔できないため、移動能力も低いことが考えられます。この新種は、5個体しか見つかっていない点、湿原環境に依存した生態、発見地の環境の悪化および移動能力の低さを考慮すると、絶滅危惧種として認識すべきであり、この新種や他の希少な動植物の存続のためにも、つがる市の湿原環境の保全管理の推進が望まれます。そして、この新種は湿原にすむ生物のなかでも特に変わった生態を持つ可能性があり、この新種の生態を解明できれば、湿地生態系における新知見の発見や湿地生態系の保全管理に対する新たな提言につながることが期待できます。
 本研究は日本学術振興会特別研究員制度(DC1)の特別研究員奨励費の支援を受けました。
 本研究成果は令和元年6月3日(月)にチェコの国際学術誌『Acta Entomologica Musei Nationalis Prague』で公開されました。

(参考図)
ヒョウタンホソヒラタムシAiraphilus abeiの全形写真。この新種の体長は2.77~3.36ミリメートル。

研究者からひとこと

私も現地で調査しましたが、この種を再発見できませんでした。この種はすでに絶滅した可能性すら疑われます。全国的な湿原の乾燥化や開発による消滅、水質汚濁、外来種の侵略などといった湿原環境の悪化によって、湿地にすむ多くの生物が減少しています。未知の種が未知のまま絶滅しないよう、豊かな自然を守りたいですね。

論文情報

Discovery of the genus Airaphilus (Coleoptera: Silvanidae) in Japan, with a description of a potentially endangered new species ,About the journal - Acta Entomologica Musei Nationalis Pragae,
10.2478/aemnp-2019-0018

研究に関するお問い合わせ先

吉田貴大 元九州大学農学研究院 学術研究員
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