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研究成果

公開日:2019.08.02

熊本地震と、その後の阿蘇山噴火の関係が明らかになってきた
~火山噴火の予測に向けた新たな手法~

研究成果 工学

 九州大学大学院工学研究院/カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)の 辻 健 教授、Andri Hendriyana(アンドリ ヘンドリアナ)学術研究員は、2016年4月に発生した熊本地震(マグニチュード7)と、その後に発生した阿蘇山噴火の関係を明らかにすることに成功しました。
 熊本地震の直後、阿蘇山が噴火したことは、記憶に残っている方も多いと思います。また地震の約6ヶ月後(2016年10月)にも、大きな噴火がありました。熊本地震と噴火の関係は、これまでにも多く議論されてきましたが、その関係を実測データから明らかにすることには、ほとんど成功していませんでした。
 研究グループは、火山性微動の発生場所を正確に特定する新たな手法を開発しました。その手法を防災科学技術研究所の地震計データに適用し、阿蘇中岳で発生した約18,000地点の火山性微動の位置を正確に特定することに成功しました。その結果から、深度約1kmで発生している火山性微動の位置が、熊本地震で東側のクラスター(図の青点)から西側(図の赤点)へ突然移動したこと、さらに10月の噴火前(火山活動が活発になる直前)に西側から元の場所(東側)へ戻ったことが明らかになりました。火山性微動は流体の移動によって引き起こされることから、今回の研究で捉えた急激な変化は、地震直後や噴火前に阿蘇山内部の流体挙動が大きく変化したことを示しています。
 今回の研究結果から、(1)熊本地震によって阿蘇山内部の流体の移動経路が変わったこと、(2)流体経路が変化して噴火が生じたことが明らかになりました。今後、本手法をさらに長い期間のデータに適用して、噴火と火山性微動の関係を明らかにすれば、本手法で得られる火山性微動の挙動を噴火の予測に利用できる可能性があります。
 この成果は2019年7月29日(月)(米国時間)に米国の科学誌『Geophysical Research Letters』のオンライン版に掲載されました。

図.火山性微動の時空間変化(2年間).(a)阿蘇カルデラ全体の地形と火山性微動の時空間変化. (b)中岳周辺の火山性微動の時空間変化. 赤点は2016年4月16 日(熊本地震)~2016年9月7日の火山性微動の位置(西側のクラスター)、青色は2015年1月~2016年4月16日(熊本地震)と2016年9月8日~2016年12月31日の火山性微動の位置(東側のクラスター)を示す.

研究者からひとこと

熊本地震で得られた貴重なデータを将来の防災へ反映できればと思い、研究を行なっています。今後も同様の研究を継続し、火山の時空間変動を捉え、防災に利用できる情報を提供したいと考えています。

研究に関するお問い合わせ先

辻 健 工学研究院/カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER) 教授
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