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Research Results 研究成果

福島原発から放出された高濃度放射性セシウム(Cs)含有微粒子(CsMP)の個数、放射能寄与率の分布図を初めて作成

2019.10.23
研究成果Physics & ChemistryEnvironment & Sustainability

 九州大学大学院理学研究院の宇都宮聡准教授、理学府の池原遼平(H31.3卒)、諸岡和也(修士1年)らの研究グループは、福島第一原発から放出された高濃度放射性セシウム含有微粒子(CsMP)の簡易定量法「QCP法※」を原発周辺~福島県内の土壌に適用して、CsMPの個数と放射能寄与率(RF値:全Cs放射能に対するCsMPの放射能の割合)を放射能測定マップ上に示しました。(図1)全Cs放射能からCsMPの放射能を引くと水溶性Csの放射能になります。また、定量結果からCsMP放出のタイミングや放出源が推定されました。筑波大学、東京工業大学、エネルギー総合工学研究所、国立極地研究所、Helsinki大学、Nantes大学、Stanford大学との共同研究の成果です。
 2011 年の福島原子力災害により放出されたCsMPは数ミクロン程度と小さいですが、通常の汚染土壌と比べて単位質量あたりが非常に高い放射能(~10¹¹ Bq/g)を持つため、局所的な放射線の影響が懸念されています。CsMPを含む放射性セシウムはプルームと呼ばれる大気の流れに乗って煙のように流れていく現象により拡散しました。本研究では20地点の土壌を分析し、原発から近いところではCsMPの個数が多いにもかかわらずRF値は低く、水溶性セシウムの寄与が大きいことが分かりました。北西方向では、CsMPと水溶性セシウムがどちらも寄与しています。これは9つの主要なプルームのうちプルーム3と8の軌跡に相当します。一方、南西方向では放射能は低いですが、RF値は80%程度と高くなりました。これはプルーム2の軌跡に相当します。この結果からCsMPは2011年3月14日~15日にかけてのごく短い期間に形成されて放出されたこと、初期は福島第一原発3号機からCsMPが放出されたことが推定されました。
 本研究は、文部科学省の科学研究費挑戦的萌芽研究(16K12585)・公益財団法人三菱財団自然科 学研究助成(29102)の支援を受けて行われたものです。また、本研究成果は、2019 年 10月 11 日(金)(日本時間)に国際環境科学誌「Chemosphere」に掲載されました。
 ※2018年に宇都宮准教授の研究グループが開発した定量法。放射性Csには水に溶けやすい形態と溶けにくいCsMPの二種類があり、CsMPの性質を利用してCsMPを分別、定量する。

図1.放射能マップにCsMPの個数、放射能寄与率の分布を重ねた図。主要な放射性物質の流れ(プルーム)の軌跡を矢印でP1~9と示した。

研究者からひとこと

まだ分析の初期段階ですが、CsMP(セシウムボールと呼ぶ人もいます)の広域の定量的な分布を作成しました。原発周辺に何個存在するか推測できるとともに、プルームとの関係が見えてきます。また、CsMPがいつ、どこで形成されたのか分かってきました。今後、さらに広いエリアを分析して詳しい分布図を作成するとともに、屋内の存在状況を把握することにつなげていきたいと考えています。

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