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走査型電子顕微鏡法による広範囲での転位運動のその場観察に成功
-金属材料の安全な使い方と将来の新材料開発に貢献-

公開日:2020.02.17

 

研究成果 工学

 金属材料は延性と靭性が高く塑性変形性能に優れた材料であり、自動車など身の回りの多くの乗り物に用いられています。この変形性能には転位という結晶中の欠陥の運動が重要な働きをしています。このため、より良い性能を生み出すためには、変形中の転位の運動を直接その場で、しかも広範囲に観察できる手法が必要となります。しかし、これまでは色々な制約条件のために透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた狭い観察視野での手法しか実現されていませんでした。
 九州大学大学院工学府修士課程2年の中藤 敬一朗(なかふじ けいいちろう)大学院生、工学研究院の津﨑 兼彰(つざき かねあき)教授及び東北大学金属材料研究所の小山 元道(こやま もとみち)准教授は、電子チャネリングコントラストイメージング(ECCI)法という高い空間分解能を持つ電子線回折手法を用いて、走査型電子顕微鏡(SEM)内で図aに示すようなミリメートルサイズのバルクサンプルの引張変形を行い、サンプル表面の任意の場所でナノメートルの空間分解能で転位の運動を直接その場観察することに成功しました(図b1–b6)。さらに、今回のその場観察研究では負荷荷重の変化にともなうサンプル内の残留応力変化や転位の集団運動にともなうすべり線形成などの観察にも成功しました。本研究成果は、金属の塑性変形機構の理解を通して、金属材料の安全な使い方の提案と将来の新材料開発に貢献するものです。
 この研究成果は令和2年2月14日(金)19時(日本時間)にネイチャー・パブリッシング・グループの学術誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開されました。また、本研究は日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(S)(JP16H06365)、若手研究(A)(JP17H04956)及び風戸奨励会「風戸研究奨励賞」の支援により遂行されました。

(参考図)図a:本研究のサンプル形状。図b1–b6:転位運動の連続観察;2本の転位が運動している。

研究者からひとこと

本研究は現在大学院修士課程2年生の中藤君が、4年生の夏にスタートさせたテーマです。新しい観察手法でしたので、実験そのものに加えて解析法の習得にも時間を使いました。多くの努力を注いだだけに、今回の発表に繋がったことをうれしく思っています。今後も学生諸君が挑戦的な課題に取り組んで研究の醍醐味を味わって欲しいと思います。

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