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Research Results 研究成果
骨粗しょう症は、骨の強度が低下し、骨折リスクが高くなる疾患で、日本では男性300万人、女性980万人と圧倒的に女性の割合が多く、50歳以上の女性の3人に1人が骨粗しょう症になると言われています。超高齢社会でQOLを維持するには、骨量を維持することが重要な課題です。現在、骨粗しょう症治療薬として、様々な薬が用いられていますが、投薬治療が継続できないことや、有害事象として顎の骨が腐る(顎骨壊死)ことが指摘されており、新たな骨粗しょう症の治療薬の開発が望まれています。
九州大学歯学研究院の自見英治郎教授らのグループは、九州歯科大学の北村知昭教授、東京医科歯科大学の青木和広教授、福岡歯科大学の平田雅人客員教授、オリエンタル酵母工業株式会社 長浜生物科学研究所の保田尚孝所長らと共同で、新たな骨粗しょう症治療の分子標的として、NIKと呼ばれる分子に着目しました。自見教授らは以前にNIK遺伝子の点変異によってNIKの正常な機能を失ったaly/alyマウス(自然発症型リンパ節欠損マウス)では、骨の吸収が抑制され、骨量が多いことを報告しています。今回、Genentech社が開発したNIKを阻害する化合物を骨粗しょう症モデルマウスに投与したところ、骨を吸収する破骨細胞と呼ばれる細胞による過剰な骨吸収が抑制され、骨量の減少を防ぐことができました。また投与期間に胸腺や脾臓などの免疫系組織、肝臓や腎臓など主要臓器の障害も見られず、NIK阻害剤が骨粗しょう症だけでなく、同じく骨吸収が亢進する歯周病や関節リウマチの治療薬にもなる可能性が期待されます。
本研究は、日本学術振興会科学研究費JP17H01595, JP26293406、およびOBT研究センタープロジェクト経費の支援を受け、研究成果は、米国学術雑誌BONEで令和2年3月11日(水)にオンライン公開されました。
高齢者の女性においては、骨組織における破骨細胞分化誘導因子RANKLの量が増加し、破骨細胞前駆細胞(破骨細胞になる細胞)に作用することで、細胞内でNIKが活性化される。NIKが活性化されると破骨細胞が誘導され、骨吸収が亢進するが、NIK阻害剤を作用させると破骨細胞の形成が抑制され(右上段、赤い大きな細胞が破骨細胞)、骨粗しょう症モデルでは、骨量の減少が抑制された(右下段)。
超高齢社会を迎え、ロコモティブ症候群※にならないためにも運動器(骨や筋肉)の機能維持は重要です。現在、有効な骨粗しょう症治療薬がありますが、歯科においては顎骨壊死という問題に直面しており、歯科界からも安全性の高い骨粗しょう症治療薬の開発に積極的に取り組む必要性を感じています。※運動器の障害により要介護になるリスクの高い状態になること