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完全ヒトiPS細胞による人工肝臓作成と生体内での機能解析

 
iPS細胞を利用した肝不全治療への展開

公開日:2020.06.03

 

研究成果 医歯薬学

 九州大学病院別府病院外科の武石一樹助教、米国ピッツバーグ大学医学部Soto-Gutierrez准教授らの研究グループは、ヒトのiPS細胞を分化させた細胞から移植可能なミニ人工肝臓を作成し、動物の体内で機能を有することに成功しました。研究者らは、iPS細胞から肝臓に必要な肝細胞、胆管細胞、血管上皮細胞に分化させました。ラットの肝臓から細胞を抜き取ることによって足場タンパク質などのみで構成される肝臓の鋳型を作成し(図1)、その鋳型に分化させたそれぞれの細胞を注入し、人工肝臓を作成しました(図2)。 この人工肝臓はタンパク質合成や解毒などの機能を有しており、人工肝臓を動物に移植したところ、動物の生体内でも機能を有することを証明しました。
 現在、肝不全の根治治療は肝移植しかありません。本邦では特に脳死ドナー不足は深刻で、肝移植が必要な患者さん全てで、移植手術を実施することができない状況が続いています。また、肝移植後は長期間にわたり、患者さんは免疫抑制剤を服用する必要があります。
 今回の成果は、山中教授が作成したiPS細胞の技術を応用しています。患者さん自身の皮膚などの細胞からiPS細胞を作成し、そこから人工肝臓を作成することができれば、免疫抑制剤が不要で、移植が必要な患者さん全てに対する肝不全の新たな治療法になり得る可能性があります。今回のミニ人工肝臓は血管などの構造ももつため、実際の移植への応用が期待できます。今後は患者さんの肝不全の治療に実際に応用できるようにスケールアップしていく研究を考えています。
 本研究成果は、2020年6月3日(水)午前0時(日本時間)に、米国科学雑誌『Cell Reports』のオンライン速報板に掲載されました。

図1肝臓の細胞を抜き取った肝臓の鋳型(Scaffold)[中央]

図2鋳型にiPS細胞から作成した細胞を入れたミニ人工肝臓

研究者からひとこと

肝臓病が1日でも早く根治治療できるよう、研究を頑張っています。今回の成果をお困りの患者さんにお届けできるよう、これからも頑張ります。

研究に関するお問い合わせ先

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