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大規模洋上ウィンドファームのバンカビリティ(融資適格性)評価に資する汎用的使用を目的とした新しい風車ウエイクモデルの開発に成功

2020.06.19
研究成果Physics & ChemistryEnvironment & Sustainability

 九州大学応用力学研究所の内田孝紀准教授は、2018年4月から東芝エネルギーシステムズ株式会社と日立造船株式会社と共同研究を実施し、大規模洋上ウィンドファームのバンカビリティ(融資適格性)評価に資する汎用的使用を目的とした新しい風車ウエイクモデルを開発しました。
 一般的に、風車ブレードの回転に伴い、その下流側には風車ウエイクと呼ばれる風速の欠損領域が形成されます。風車1基の場合でさえ、風車ウエイク内の流動現象は非常に複雑です。現在、日本各地の沿岸域で検討が開始されている複数の風車群から構成される大規模洋上ウィンドファームでは、風車ウエイクが相互に干渉し、下流側の風車群に直接的な影響を与えます。具体的には、期待した発電量が得られないことや、風車内外の突発的な故障や事故です。そのため、各風車から形成される風車ウエイクの挙動とその相互干渉現象を予測し、各風車の耐久性評価およびウィンドファーム全体の経済性評価をウィンドファームが建設される前に実行する必要があります。ここで要求される精度は、バンカビリティ評価に耐え得るものでなければなりません。
 この目的に対し、内田孝紀准教授は、シミュレーション技術に基づいたバーチャル洋上ウィンドファーム構築技術を早急に確立すべく、東芝エネルギーシステムズ株式会社と日立造船株式会社との共同研究に着手しました。今回、風車ブレードの回転に起因した風速減衰効果を、風力発電事業者が利用しやすい簡易モデルで再現することに成功しました。現在、別紙の秋田県雄物川風力発電所を対象に、本ウエイクモデルの有効性を実測データとの比較により検証しています。
 今回の一連の研究成果は、6月19日(金)(日本時間)に国際学術雑誌「energies」に掲載されました。本研究の一部は文部科学省 科学研究費 基盤研究(B)17H02053の支援も受けました。さらに、本研究成果に関連して、特許申請(3件)も同時に行いました。

(参考図) 本研究で新たに開発したポーラスディスク・ウエイクモデル(特許申請済)を用いた大規模洋上ウィンドファームの数値風況シミュレーションの一例/応用力学研究所が所有するスーパーコンピュータSX-Aurora TSUBASAによる大規模並列計算

研究者からひとこと

九州大学応用力学研究所・東芝エネルギーシステムズ株式会社・日立造船株式会社による共同研究は現在も継続中です。産学連携スキームで日本の環境に適した、日本の技術による、日本版大規模洋上ウィンドファームの実現を目指します。

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