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研究成果

公開日:2016.09.27

海底火山活動を迅速に見つけて化学的に観測する

研究成果 理学

 浅海の火山からの熱流体の放出は海洋環境を支配する重要な役割を持つ一方で、海上の船舶に被害を与える可能性があります。九州地方南西に位置するトカラ列島近海では海底火山活動の存在が指摘されてきましたが、熱水噴出孔の詳細な海洋化学については知見がありませんでした。東京大学、台湾大学、九州大学、熊本大学、名古屋大学からなる研究グループは、2014年6月28日から7月5日にかけて学術研究船「新青丸」のKS-14-10次航海Leg2で海底地形調査を実施し、新たな熱水噴出孔を発見して海水試料を採取しました。実験室で分析したデータはトカラ列島と鹿児島湾におけるヘリウム・メタンのフラックスと起源の違いを示し、それらは地殻構造と熱水周辺の微生物活動に起因することを明らかにしました。本研究は音響測深器によるウォーターカラム画像(注1)で効率的に熱水噴出孔の位置を特定し、そこへ向かって採水器を投下することで確実性の高い熱水採取を行った最初の例であり、浅海の火山調査に有用な新規手法を提唱しています。地球化学的観測による火山活動の評価は防災の側面で重要性が高く、本研究成果はトカラ列島をはじめとする浅海の火山地域における観測体制の整備に対して大きく貢献すると期待されます。

トカラ列島:丸印が本研究のサンプリングサイト。

ウォーターカラム画像:左が第一奄美海丘、右が小宝島のガスプルームの様子。両方のサイトで100m以上の水深から海面付近まで追跡可能な巨大なプルームが見つかりました。

熱水試料中のメタンの炭素同位体比とCH4/3He比:トカラ列島では熱分解によるメタン生成が支配的であるのに対し、若尊カルデラでは微生物活動により軽いメタンが優先的に消費されることで炭素同位体比が高くなっていることが分かります。

研究に関するお問い合わせ先

理学研究院 准教授 石橋 純一郎

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