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ナノサイズ気泡を用いた金属腐食抑制に世界で初めて成功

公開日:2020.10.09

 

研究成果 工学

 九州大学大学院工学府地球資源システム工学専攻修士課程2年の相川明日希大学院生(研究当時)、大学院工学研究院地球資源システム工学部門の喜岡新特任助教、中川昌美教授(現:米国コロラド鉱山大学)、(株)安斉管鉄の安斎聡代表取締役社長らの研究グループは、世界で初めてウルトラファインバブル注1を用いた金属腐食の抑制に成功し、ウルトラファインバブルによる腐食抑制メカニズムを提案しました。
 地熱発電は再生可能エネルギーとして注目されており、日本国内での地熱発電所の多くが九州地方に集中しています。しかしながら、酸性の熱水を利用した地熱発電所では、発電所施設の金属配管において著しい腐食が発生しています。これに伴い、定期的な配管交換や高価な鋼材の導入が必要となるため、地熱発電所での運営上、腐食は大きな問題となっています。
 今回、研究グループは、地熱発電所で一般的に使われている配管と同じ鋼材の金属片を、ウルトラファインバブルを添加させた酸性熱水に連続的に水浸させた結果、腐食を20〜50%抑制することに成功しました。抑制機構として、ウルトラファインバブルが金属の表面コーティング剤として作用したか、あるいはウルトラファインバブルが、熱水に含まれるシリカ粒子の沈殿を誘発して金属表面での極薄のシリカコーティング形成に寄与したことが考えられます。
 本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト事業ならびに本学工学研究院新分野開拓助成の支援を受けて実施されました。なお、この研究成果は2020年9月29日(日本時間)に『Geothermics』誌オンライン版に掲載されました。
(掲載URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0375650520302546)

注1:数十〜数百ナノメートル径の超微小気泡で、ナノバブルとも呼ばれています。環境に優しく導入が比較的安価であることから、近年では農林水産や美容など様々な分野での応用例も報告されています。

図A:通常の酸性熱水とウルトラファインバブル(UFB)を添加した酸性熱水に4〜7日間水浸した金属片の写真。UFBを添加した熱水での金属片の腐食度合いの方が小さい。
図B:UFBによる腐食抑制機構。

研究者からひとこと

ウルトラファインバブルは環境に優しく導入も安価であることから、我々の技術が様々な流体での金属腐食の抑制に役立てれば幸いです。また、ウルトラファインバブルには様々な物理化学的特異性が知られていますが、我々はウルトラファインバブルの未知なる基本特性の理解を進め、その特性を応用した研究を進めてまいります。

論文情報

Nanobubbles as corrosion inhibitor in acidic geothermal fluid, Geothermics
DOI:10.1016/j.geothermics.2020.101962

研究に関するお問い合わせ先

工学研究院地球資源システム工学部門 喜岡 新 特任助教

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