Research Results 研究成果
a. 培養形の仕組み b. 自発的に形成される内皮細胞の管腔ネットワーク c. 管腔内での蛍光ビーズの灌流 d. 管腔内での赤血球の灌流
九州大学大学院医学研究院の三浦岳教授、京都大学大学院工学研究科の横川隆司教授、熊本大学国際先端医学研究機構の西山功一准教授らの研究グループは、灌流可能かつ生物学的機能を有する毛細血管網を、培養ディッシュの中に作り出す安価で安定した方法を開発しました。
再生医学や幹細胞医学では三次元組織の培養は究極の目標の一つですが、毛細血管網の欠如が技術的なハードルとなっています。生体外で毛細血管網を作り出す方法は、これまで生物医工学的な手法で主に行われてきましたが、特殊なマイクロ流体デバイスや高額な機器が必要でした。
今回、三浦教授らの研究グループは、一般的な培養ディッシュに簡単な加工を加えることで同様の実験系を実現しました。これによって、毛細血管網での灌流実験が、通常の生物学の研究室で広く実現可能となり、研究分野の裾野が広がることが期待されます。
この研究成果は、2020年10月28日(水)午後2時(米国東部時間)に、米国科学雑誌「PLOS ONE」のオンライン版で発表されました。
タイトル:A new perfusion culture method with a self-organized capillary network
著者名:Kei Sugihara, Yoshimi Yamaguchi, Shiori Usui, Yuji Nashimoto, Sanshiro Hanada, Etsuko Kiyokawa, Akiyoshi Uemura, Ryuji Yokokawa, Koichi Nishiyama and Takashi Miura
掲載誌:PLOS ONE (2020)
DOI:10.1371/journal.pone.0240552