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Research Results 研究成果
独立行政法人国立科学博物館、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所、国立大学法人九州大学は、7月2日に千葉県習志野市と船橋市に落下した隕石を分析し、分類をH5普通コンドライト(球粒隕石)と確定しました。また、この隕石は11月1日、国際隕石学会に「習志野隕石(Narashino)」として登録されました。

習志野市に落下した習志野隕石1号

船橋市に落下した習志野隕石2号
<これまでの経緯>
2020年7月2日午前2時32分に関東地方上空を大火球が通り、これに伴って千葉県周辺に隕石が落下しました。同日、1つ目の隕石片が千葉県習志野市のマンションで発見され、千葉県立中央博物館を通じて国立科学博物館に同定依頼があり、ガンマ線測定を行って宇宙線生成核種を検出し、最近落下した隕石であることを確認しました。これを習志野隕石1号と呼び、63gと70gの破片の他、その後の調査で発見された小さな破片をあわせて156gが回収されました。国内で隕石が発見されたのは小牧隕石以来2年ぶりで、53番目の隕石となります。その後、7月22日になって、約1km離れた千葉県船橋市内のアパートで屋根瓦が割れているのが見つかり、瓦の破片と一緒に2つ目の隕石片が発見されました。これを習志野隕石2号と呼び、95gと73gの破片とその他小さな破片をあわせて194gが回収されました。これにより、1つの隕石がバラバラになって多くの破片を降らせる隕石雨(隕石シャワー)であることが確認されました。
<隕石組織観察と鉱物組成分析>
7月15日に国立極地研究所にて分析用試料を1号の大きな破片それぞれから約1gずつ切り取り、70gの破片から切り取った試料から隕石薄片と電子顕微鏡用試料の作製を行いました。63gの破片から切り取った試料は希ガスや宇宙線生成核種の分析に使用しました。2号は8月4日に国立極地研究所にて73gの破片から約3gの分析用試料を切り取り、薄片と電子顕微鏡用試料の作製と希ガスの分析を行いました。偏光顕微鏡や電子顕微鏡による隕石組織の観察と鉱物組成の分析結果(かんらん石、輝石)から、習志野隕石は普通球粒隕石(コンドライト)に分類されました。普通コンドライトにはH, L, LLの3つの化学的グループがありますが、詳細な鉱物組成からHグループであることが分かりました。また、隕石組織の観察で粗粒の斜長石が見られないことから、岩石学的タイプは5であることが分かりました。組み合わせて「H5コンドライト」と呼ばれます。H5コンドライトは普通コンドライトではL6コンドライトに次いで2番目に多いコンドライトグループで、日本に落下した隕石では曽根隕石(1866年落下)、竹内隕石(1880年落下)、神大実隕石(1915年頃落下)など、最近では岡部隕石(1958年落下)、田原隕石(1991年落下)、つくば隕石(1995年落下、H6の部分もあり)、広島隕石(2003年落下)がこのグループになります。
<希ガス分析>
九州大学において希ガス(アルゴンなど)の分析を行いました。アルゴンの分析から形成年代(K-Ar年代)が約45(±1.5)億年前であるという結果が得られました。つまり、習志野隕石が形成された年代は、太陽系が形成された46億年前の直後ということになります。また、希ガスの同位体組成は1号と2号でほぼ同じであり、同一起源の隕石であることが確かめられました。

かんらん石中の鉄/(鉄+マグネシウム)比(モル%、Fa#)のヒストグラム(国立極地研究所) 1号と2号に差は無く、Hグループの化学組成をしている。
<国際隕石学会への登録>
上述の分析結果を添えて、この隕石の名称を「習志野隕石(Narashino)」として国際隕石学会(The Meteoritical Society)へ登録申請を行いました。隕石の名称は落下地にちなんだものを付けることになっていますので、最初の隕石片の発見地が習志野市であること、また、船橋市も含めてこの地域の名称として習志野が知られていることから取ったものです。学会の命名委員会(Nomenclature Committee)において、審査・投票が行われ、10月24日付けで承認されました。また、学会の隕石データベース(The Meteoritical Bulletin Database https://www.lpi.usra.edu/meteor/metbull.php)に11月1日に登録されました。