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コロナ禍の食料廃棄行動への影響を解明

 
〜「新しい日常」での持続可能な食生活に向けて〜

公開日:2020.12.21

 

研究成果 人文・社会科学

九州大学持続可能な社会のための決断科学センターの錢琨 助教、Firouzeh Javadi助教と比良松道一 准教授の研究チームは、コロナ禍における家庭内の食料廃棄に関する意識と行動の調査を行い、地域の感染状況によって食料廃棄に関する意識と行動が異なることを明らかにしました。

調査は、2020年7月2日にオンラインで実施し、日本全国1,959名の有効回答から、食料廃棄行動に結びつく7因子(家庭内の食料廃棄状況を把握する力、買い物や料理で適切な食品の量を把握する力、コロナ禍前後の自炊状況、食材の消費・賞味期限への関心、食料廃棄問題への関心、コロナ禍での食料品の過剰購入、コロナ禍による食料不足への不安と食料選択行動の変化)が抽出されました。感染者数が多い東京・大阪など8都道府県に住む人(有効回答者の53.1%を占める・下記左図の赤丸)は、それ以外の地域に比べて、家庭内の食料廃棄状況をよく把握し、食事の準備に無駄が少なく、コロナ禍で食料を過剰に購入しない傾向が強いことが示唆されました。一方で、感染者数が少ない地域に住む人は、コロナ禍での食料の不足に対する不安や選択に対する行動への影響がより小さいことが示唆されました(下記右図)。また、7因子のうち、「コロナ禍での食料品の過剰購入」と「コロナ禍による食料不足への不安と食料選択行動の変化」の2因子は、回答者の性別、同居する子どもの人数、自炊の担当状況、家庭の年収や雇用形態によって異なるとの結果も得られました。

感染者数に差がある地域間で食料廃棄に対する意識や行動が異なるという結果が、コロナ禍による一時的な影響か、それとも人口規模・構成の違いから生じる普段の生活様式の差異の影響かについては、今後の縦断的調査で明らかにする予定です。地域・人口統計学的特徴に基づいた食に対する意識や行動の継続調査によって、いわゆるウィズ・ポストコロナ社会の「新しい日常」において持続可能性を高める食生活を構築するための判断材料を提供できます。

本研究成果は、2020年11月27日付けで国際学術誌「Sustainability」に掲載されました。

 

研究者からひとこと
コロナ禍のような感染症パンデミックは、パニック買いや健康増進など、日常生活における心理や行動に大きく影響します。コロナ禍を機に、食生活の改善、自炊人口や食料廃棄の増減など食にまつわる諸問題の心理や行動の変化を分析し、新しい生活様式における持続的な暮らし方のヒントを提言します。

論文情報

タイトル:
著者名:
Kun Qian ,Firouzeh Javadi and Michikazu Hiramatsu  
掲載誌:
Sustainability 
DOI:
10.3390/su12239942 

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