Research Results 研究成果
自然界には、太陽、雷、オーロラなどプラズマに関連する多くの現象が見られ、その発光は美しく、躍動する神秘的な動きは人を魅了します。その一方、プラズマは、これまで核融合炉の実現のほか、近年ではテーブルトップ加速器の製作、新物質創生、医療、農業などへ広く応用される研究対象です。しかし、プラズマの性質は現在でも未知の部分が多くあります。エネルギー問題の根本的な解決に繋がる核融合炉の実現のほか、諸領域に広がるプラズマの応用を効率的に進めるためには、革新的なプラズマ計測法が強く求められています。
九州大学応用力学研究所/極限プラズマ研究連携センターの藤澤彰英教授、文贊鎬助教の研究グループは、磁化プラズマにおける3次元揺動乱流構造の時間発展(4次元構造)を精密に観測できる高分解能トモグラフィ計測器の開発に成功しました。その革新的な4次元トモグラフィ※を用いて直線磁化プラズマを観測した結果、プラズマの4次元的発展の様子や、その構造に見られる対称性の破れ、乱流の起源の存在を世界で初めて見つけました。この成果は、「百万分の1秒」の時間分解能をもち、プラズマのみならず汎用性のある4次元トモグラフィの重要性とともに、磁場閉じ込め核融合実現の要でもある乱流プラズマの物理学的理解を進める上での不可欠な役割を示すものです。
本研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」に 2021 年 2 月 19日付で掲載されました。
※4次元トモグラフィ:医療で用いられるCT (Computed tomography)を動画にしたものと考えてください。
基礎プラズマ実験装置PANTA
プラズマ生成時における3断面のトモグラフィで計測したプラズマ発光の時間発展
プラズマ乱流は核融合プラズマのエネルギー損失を引き起こすため核融合炉開発にとって重要な課題です。また、プラズマ全域にわたる空間的な様子と時間変化を可視化する4次元トモグラフィは、核融合プラズマだけでなく、応用プラズマの分野にも寄与するものです。