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Research Results 研究成果
九州大学大学院薬学研究院の大戸茂弘教授、吉田優哉特任助教らの研究グループは、松永直哉教授、小柳悟教授らとの「薬薬連携研究」の成果として、慢性腎臓病 (CKD)時に生じる心臓の炎症/線維化がビタミンAと単球内の概日時計変容を介して悪化する仕組みを明らかにしました。
慢性腎臓病 (CKD)による腎機能の低下は様々な合併症を引き起こしますが、特に発症頻度が高いのが心疾患です。にもかかわらず、CKD時に心疾患リスクが上昇する要因については十分理解されておらず、末期CKD患者の死因1位は心不全です。
一方、多くの生物は、地球の自転に伴う外部環境の周期的な変化に対応するため、自律的にリズムを発振する機能 (体内時計)を保持しています。この体内時計は時計遺伝子と呼ばれる複数の転写因子によって維持されていますが、疾患時には時計遺伝子の発現/機能にしばしば異常が認められます。今回、研究グループはマウスおよびヒト血液検体を用いた実験により、CKD時に生じる血中ビタミンA濃度の上昇が時計遺伝子の発現を変容させること、およびこの発現変容が単球の炎症促進作用を高めることを突き止めました。また、この単球が心臓に浸潤することで、心臓の炎症を悪化させることも明らかにしました。これらの知見から、CKD時に単球の炎症活性を上昇させる分子を標的とした治療薬の開発や、ビタミンAの異常な蓄積を改善する血液浄化法の構築につながることが期待されます。
本研究成果は、2021年5月13日 (木)午前10時 (英国時間)に国際科学雑誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました (DOI:10.1038/ s41467-021-23050-x)。
CKD時には肝臓でビタミンAの代謝不全が生じ、血中のビタミンA濃度が上昇します。ビタミンAは時計遺伝子を介して単球のGPR68というタンパク質の発現を誘導します。GPR68を高発現する単球は高い炎症促進作用を有しており、心臓へ浸潤することで心臓組織の炎症や線維化を進行させます。