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拡大反射・縮小反射・散乱鏡を自在に切り替える鏡の作製に成功!

 
プリントライクな光学計測デバイス製造技術の実現へ向けて

公開日:2021.06.15

 

研究成果 Physics & Chemistry Technology

 本学大学院システム情報科学研究院(興雄司教授・吉岡宏晃助教・中窪奎喬大学院生)、工学研究院応用化学部門(石松亮一助教)、ノースカロライナ州立大学(Michael D. Dickey教授他)の国際共同研究チームは、光学・電気化学・分析化学の分野を跨ぐ融合研究として、液体金属の表面を、反射状態と散乱状態の間で動的に切り替える方法を開発しました。液体金属は、金属としての電気的、熱的、光学的特性と、液体ゆえの流動性を併せ持っているため、光学素子として応用を考える研究はこれまでも行われてきました。チームは新しいアプローチとして、電気による酸化・還元反応を光学面の自己形成の観点で再評価した結果、光学部品の製造に一般的に必要とされる光学的コーティングや研磨の工程を必要とせずに、切り替え可能な反射面・散乱面を動的に形成することに成功しました
 この成果で、自由な凹面・凸面に加え散乱面も即座に形成できるミラーを将来的には実現できます。また、そのミラーはマイクロ構造でもウイルスや汚染物質検出のためのポータブルな光分析チップに応用できるでしょう。長期的には、このような自己形成技術は、通常研磨が必要とされる光のシステムを、いわゆる3Dプリンターの様な自動製造手法で作製することができるような簡易製造装置の重要な技術になることが期待されます。
 本研究成果は、2021年6月14日(月)公開のアメリカ光学会(OSA, Optical Society of America)のOptical Materials Express誌に当学会の公式ニュースリリースとともに掲載されました。

参考図

液体金属表面を電極とし電圧を印加した時、液体金属表面が酸化され散乱状態になります(左上と右下)。そして、逆方向に電圧をかけると還元反応により液体金属表面が反射面を一瞬で復元し、鏡のように像を映します(右上と左下)。

研究者からひとこと
実験中に偶然発見された一見「失敗」に見える結果を、光学的に意味があるものとして評価しようとした斬新な発想と、それを引き起こす条件・起きている現象の電気化学的な検証、電気回路的な検証、光化学的な検証を国際チームで協力することで研究成果とする事ができました。「海外武者修行」を実施いただいた分子システムデバイス国際リーダー教育センターにも、謝意を表します。

論文情報

タイトル:
Dynamic control of reflective/diffusive optical surfaces on EGaIn liquid metal
(ガリウムインジウム合金液体金属における反射/散乱光学面の動的制御)
著者名:
Keisuke Nakakubo, Hiroaki Yoshioka, Kinichi Morita, Ryoichi Ishimatsu, Abolfazl Kiani, Hans Hallen, Michael D. Dickey, and Yuji Oki
(中窪 奎喬, 吉岡 宏晃, 森田 金市, 石松 亮一, Abolfazl Kiani, Hans Hallen, Michael
D. Dickey, 興 雄司) 
掲載誌:
Optical Materials Express (OSA Publishing) 
DOI:
https://doi.org/10.1364/OME.425432