Research Results 研究成果
材料同士を接着剤で接着する技術は、これまで用いられてきた金属によるリベット接合や溶接に比べて軽量化が実現できるため、航空機、自動車などへ適用することにより、軽量化による燃費向上でCO2排出抑制に貢献します。この技術には、長期間安定に接着状態を維持することが必要とされます。
九州大学工学研究院応用化学部門の田中 敬二 主幹教授/科学技術振興機構 プログラムマネージャーが推進している未来社会創造事業「界面マルチスケール4次元解析による革新的接着技術の構築」において、先導物質化学研究所 小椎尾 謙 准教授および同研究所高原 淳 主幹教授(現 ネガティブエミッションテクノロジー研究センター 特任教授)らの研究グループは、エポキシ系接着剤試料(※2)の疲労挙動を評価する方法を確立するとともに、有機分子で修飾した層状粘土鉱物(有機化クレイ)(※3)をエポキシ系接着剤に添加することにより、従来の接着剤に比べて力学強度および疲労強度を改良できることを明らかにしました。
本成果は、材料の信頼性と軽量性を高める安全・安心の技術として、広く普及すると期待されます。これらの研究成果はアメリカ化学会の「ACS Applied Polymer Materials」誌にASAP Articlesとして、6月9日(水)に掲載されました。
参考図
(図1)接着剤で2つの材料を接着する様子
(図2)実際の測定試料と有機化クレイにより高強度化されたされた試料の模式図
用語解説
(※1) リベット接合
頭部とねじ山がない胴部からなり、接合したい二つの材料の穴に通し、かしめて頭部のように変形させて両者を固定する方法
(※2) エポキシ系接着剤試料
アミン類の硬化剤を常温で化学反応させ、エポキシ樹脂を硬化・接着する試料
(※3) 有機分子で修飾した層状粘土鉱物(有機化クレイ)
エポキシ系接着剤試料の弾性率や強度を高めるために添加する添加剤