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ALMA望遠鏡による超高速回転原始星ジェットの検出

公開日:2021.07.26

 

研究成果 Physics & Chemistry

 星の誕生時にジェットというガスの噴出現象が起こることが分かっていますが、何故ジェットが現れるかについては明確には分かっていませんでした。本研究で、本学大学院理学研究院の町田正博准教授、国立天文台の松下祐子研究員らの研究グループは、ジェットの回転を詳細に観測し理論モデルと組み合わせることでジェットの駆動機構とその役割を特定しました。
 この研究では、FIR 6Bという原始星(幼年期の星)周囲をALMA望遠鏡で観測したところ高速で回転しながら噴出するジェットを検出しました。回転の速度と角運動量という回転に関係する物理量は、これまで回転が検出されたジェットの中で最も大きく観測史上最大の回転を持つジェットだということが分かりました。回転速度と角運動量は従来の理論予想を遥かに超えた大きさであり磁気駆動というモデルでのみ説明可能です。このジェットの回転は、原始星から半径3天文単位にある円盤の回転を磁場の力で遥か遠く100天文単位にある物質に伝え強制的に回転させることで実現できます。この研究からジェットは磁場の効果によって出現するということも明確になりました。また、ジェットによって円盤のガスは回転(角運動量)を失って中心に落下し、原始星が大人の星に成長させる役割を果たすことも明らかになりました。このような超高速回転ジェットは星が幼年期から大人の段階に移り変わる短い時間にだけ出現します。この研究によって星の成長とジェットの関係を明らかにすることが出来ました。
 本研究成果は英国の雑誌「The Astrophysical Journal」に2021年7月22日に掲載されました。また、本研究は科学研究費(JP21K03617, JP21H00046)の支援により行われました。

参考図

原始星FIR 6B(図の右下)から噴出する高速ジェット(左上から右下に分布する構造)と模式図(左下)。ジェットのカラーは視線方向の速度でほぼ回転速度に対応する。左上方向に伝搬するジェットの速度は400 km s-1(時速144万km)。

 

⾼速回転するジェットのイメージ図

右下の円盤の中⼼に存在する明るい点が原始星(⾚ちゃん星)。円盤の左上と右下から超⾼速回転ジェッ トが吹き出している。ジェットの中のオレンジ⾊の線は磁⼒線を⽰しており、ジェットは磁場と回転 の⼒によって原始星近傍の円盤から駆動する。

原始星近傍の拡⼤図

中⼼の明るい部分が原始星。原始星を回転する円盤が取り囲んでいる。円盤の回転が磁場の⼒によって上空のガスに回転(⾓運動量)を与えることによってジェットが⾼速回転する。他⽅、円盤のガスは回転(⾓運動量)を失って原始星に落下し、原始星を成⻑させ太陽のような⼤⼈の星へと成⻑していく。

研究者からひとこと
ジェットの回転を検出することは難しく、ダメ元で結果を出してみたところ綺麗な回転が見えたのでとても感動しました。また、回転速度や角運動量が他の星からのジェットや理論予測よりも大きいことにも驚き、ワクワクしながら解析を行った思い出があります。

論文情報

タイトル:
著者名:
Yuko Matsushita, Satoko Takahashi, Shun Ishii, Kohji Tomisaka, Paul T. P. Ho,
John M. Carpenter, and Masahiro N. Machida
掲載誌:
The Astrophysical Journal 
DOI:
https://doi.org/10.3847/1538-4357/ac069f 

研究に関するお問い合わせ先

理学研究院 町田 正博 准教授