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ミトコンドリア内にタンパク質凝集体が生じるメカニズムを解明!

 
〜疾病治療や老化研究への応用を期待〜

公開日:2021.08.19

 

研究成果 Life & Health Physics & Chemistry

 LONP1(※1)はミトコンドリアマトリクスに局在するプロテアーゼであり、またCODAS (脳・眼・歯・耳介・骨格)症候群(※2)やミトコンドリア脳筋症(※3)の原因遺伝子であることが知られています。LONP1の機能が低下した患者の細胞では、タンパク質がミトコンドリアマトリクス内で不溶化し凝集体を生じることが知られていますが、この凝集体が生じるメカニズムについては明らかにされていませんでした。
 九州大学 大学院 医学研究院 基礎医学部門 臨床検査医学分野の松島雄一助教、康東天教授、前橋工科大学 工学部 生命情報学科の福地佐斗志教授らの研究グループは、LONP1の機能が低下すると新規にミトコンドリアマトリクスへ輸送された特定のタンパク質が速やかに不溶化することを明らかにしました。またLONP1のATP加水分解活性を介したシャペロン様活性(※4)が特定のタンパク質の可溶化に必要なこと、著しく不溶化するタンパク質には天然変性領域(※5)を多く持つ傾向があることを示しました。さらに、ミトコンドリア移行シグナルが切断されないまま輸送された新規輸送タンパク質はLONP1によって速やかに分解されることも明らかにしました。このようにLONP1は特定の新規輸送タンパク質の可溶性に寄与する一方で、新規にミトコンドリアマトリクスに輸送された不良タンパク質の分解にも寄与することから、LONP1は特定の新規輸送タンパク質にとって“門番”の役割を果たしていることを示しました(参考図)。本研究の成果はCODAS症候群などの発症機序の解明や治療法を開発する上で基礎となる知見です。
 本研究成果は、2021年8月16日(月)午後6時(日本時間)に英国科学雑誌『Communications Biology』に掲載されました。

参考図

新規にミトコンドリアマトリクスに輸送された特定のタンパク質は“門番”であるLONP1が機能不全に陥ると不溶化する

研究者からひとこと
細胞内外の様々な場所でのタンパク質凝集が各種疾病を引き起こす原因であることが明らかになり、タンパク質凝集をターゲットにした治療法に注目が集まっています。さらに、近年ではタンパク質凝集は老化の原因の一つとも考えられています。タンパク質凝集のメカニズムを明らかにすることは、将来的にはタンパク質凝集をターゲットにした疾病や老化の治療法に結びつくと期待されます。

論文情報

タイトル:
著者名:
Yuichi Matsushima, Kazuya Takahashi, Song Yue, Yuki Fujiyoshi, Hideaki Yoshioka, Masamune Aihara, Daiki Setoyama, Takeshi Uchiumi, Satoshi Fukuchi and Dongchon Kang
掲載誌:
Communications Biology
DOI:
10.1038/s42003-021-02498-z

研究に関するお問い合わせ先

医学研究院 松島 雄一 助教